やや強気エネルギー・セレクト・セクター SPDR ファンド【最新】米国株・S&P500の今後の見通し:S&P500企業の決算は好調、今後はエネルギーセクターの動向に注目

- 先週のFRB発言は無視しても良いと考えられるが、経済データが低成長とディスインフレを示すならば、早期の利下げが示唆される可能性がある。
- S&P500企業の決算シーズンは好調で、収益成長が続けば指数水準の上昇が期待される。
- 実際に、企業収益はAI革命の追い風を受け、第1四半期は6%成長しそうだが、AI革命が消費するエネルギーは過小評価されている。
- 今後は、人工知能の進化が新たな投資テーマを生み出す一方で、エネルギーセクターの需要増加が注目される可能性がある。
先週は、FRB関連の発言が相次いだが、私はこれをほとんど無視するべきだと見ている。
もし最新の経済データが低成長とディスインフレ(どちらも基本的なトレンドである)に有利なものであれば、FRBは利下げが早期に可能であるとほのめかすだろう。
データがトレンドと一致しない場合は、短期金利はより長く高止まりする方向に傾く。
唯一不変なのは、インフレ期待をできる限り抑制するために、全体としてややタカ派的な傾向があることだ。
ともあれ、先週テクノロジー・セクターへのエクスポージャーが限定的であったために下落したダウ工業株30種平均を除けば、主要な市場平均は5連勝を続けている。
賃金上昇率が先細りを続け、過去2年間(下図)のようにディスインフレ傾向が続けば、短期金利(2年債利回り)は低下し、株価は上昇するだろう。
下のグラフにもあるように、昨年秋にインフレ率が賃金上昇率を下回ったことが、最も重要な出来事の一つである。
過剰貯蓄がほぼ底をついた今、実質(インフレ調整後)賃金上昇の再開は絶好のタイミングだった。
実質賃金の伸びは景気拡大を長引かせるために不可欠である。
先週発表されたS&PグローバルフラッシュPMI指数では、6月の製造業とサービス業の両方で経済成長が改善し、予想を上回る結果となった。
もし今週、第1四半期の経済成長率が当初予想の1.6%から下方修正されたとしても、この結果によって懸念は緩和されるだろう。
さらに重要なのは、FRBが好む4月のインフレ指標が金曜日に報告されることだ。
コンセンサスでは、月次コア指数が0.3%から0.2%に低下すると予想されており、その結果、年率2.8%に変化はないとの見込みとなっている。
つまり、トレンドが崩れるわけではないので、全く問題ない。
企業の決算シーズンは好調のうちに幕を閉じようとしている。
S&P500種構成企業の96%が決算を発表し、指数収益は6%増となったが、これは第1四半期末時点の予想値3.4%を大きく上回るものである。
ヘルスケア以外のすべてのセクターがアウトパフォームした。
S&P500のフォワードPERは20.5倍と伸び悩んでいるが、特にテクノロジー以外のセクターの収益成長が続けば、指数水準は上昇するだろう。
私は、インデックスにおける売上高の41%を占める海外市場を新たな強さの源泉と見ている。
S&Pグローバルが発表した最新のPMI速報値では、米国だけでなく、日本、ユーロ圏、英国を含む「G4」の製造業とサービス業の活動が上昇している。
これは国内の成長鈍化を相殺する絶好のタイミングとなるだろう。
テクノロジー以外の分野でも、人工知能(AI)の進化から恩恵を受ける企業が増えていることから、人工知能をきっかけに新たな投資テーマが生まれるかもしれない。
実際に、決算説明会でAIに関する言及が急増していることに注目してほしい。
これは、1990年代にクライアント・サーバー・コンピューティングがもたらしたような生産性ブームをもたらす可能性があると見ている。
しかし、次のチャンスはテクノロジーではなく、それをホストし開発するデータセンターに電力を供給するために必要なエネルギーにあるように見える。
S&P500種指数におけるエネルギー・セクターのウェイトは、テクノロジー・セクターの29.2%に比べ、わずか4.1%に過ぎない。
この10年間、エネルギー需要の伸びはほぼ停滞を続けてきたが、この10年間でエネルギー需要が大幅に増加していることを投資家が認識するにつれ、今後数ヶ月のうちにエネルギーセクターへの入れ替わりが起こる可能性があると見ている。