やや強気ゼットスケーラーゼットスケーラー / ZS / 強気:最新の2023年4Q決算・強み(優位性)分析と今後の株価見通し・将来性(Zscaler)
- ゼットスケーラー(ZS)は、世界中で事業を展開する、急成長中のクラウド・セキュリティ関連企業である。
- 同社は2023年9月5日に2023年度第4四半期決算を発表しており、成長率は目覚ましく、営業損失は削減され、フリーキャッシュフローは非常に好調である。
- それらを踏まえ、私の同社株式に対する見通しは「強気」である。
ゼットスケーラー(ZS)について
ゼットスケーラー(ZS)は、クラウド・セキュリティ・ソフトウェアを世界中の企業に提供している。
同社は2023年9月5日に2023年度第4四半期決算を発表し、売上高とコンセンサス利益の予想を上回った。
目覚ましい成長を続ける一方、営業損失は縮小し、フリー・キャッシュフローは非常に好調な水準を維持している。
それらを踏まえ、私は同社株式に対して「強気」で見ている。
ゼットスケーラー(ZS)の概要
2007年に設立された同社は、世界中の組織のデジタル・エクスペリエンスとクラウド・セキュリティ態勢を改善する一連のソフトウェアサービスを提供している。
5,962人のフルタイム従業員を擁し、本社はカリフォルニア州サンノゼにある。
創業者兼CEOのジェイ・チャウドリーは、AirDefence、CoreHarbor、SecureIT、CipherTrustなどの会社を設立したシリアルアントレプレナー(連続起業家)としての経歴を持つ。
同社のサービスには以下が含まれる。
Zscaler Internet Access
Private Access solutions
Digital Experience
Posture Control
Risk360
Zero Trust Branch Connectivity
同社は、金融サービスからヘルスケアまで、様々な業界に対してサービスを提供している。
市場規模
Allied Market Research社のレポートによると、2022年の世界のクラウド・セキュリティ市場規模は358億ドルとのことである。
2023年から2028年までの年平均成長率は9.1%で、2028年には629億ドルに達すると予測されている。
クラウド・セキュリティ市場は、サイバーセキュリティ業界で最も急成長しているセグメントの1つである。
この成長の原動力となっているのは、クラウド・コンピューティングの導入が進んでいるためであり、データやアプリケーションをクラウドに移行する企業が増えているのが現状である。
ガートナー社(Gartner)によると、2025年までに、新たに追加されるワークロード(作業負荷)の95%が、クラウド・ネイティブ・プラットフォーム上に展開されるという。
主な動向
クラウドセキュリティ市場は常に進化しており、常に新しいテクノロジーやソリューションが登場している。
クラウドセキュリティ市場の主な動きには、次のようなものがある。
クラウド・ベースのセキュリティ製品とサービスの台頭
マネージド・セキュリティ・サービスの採用拡大
データ・セキュリティとプライバシーへの関心の高まり
クラウド・ネイティブ・アプリケーション向けの新しいセキュリティ・ソリューションの開発
地域別の展望
北米のクラウドセキュリティ市場が世界最大の市場であり、アジア太平洋地域と欧州市場がこれに続いている。
北米市場は、2023年から2028年にかけて年平均成長率8.5%で成長し、アジア太平洋市場と欧州市場は、それぞれ年平均成長率10.2%と9.3%で成長すると予測されている。
主要プレーヤー
クラウドセキュリティ市場の主要プレーヤーには、以下のような企業が挙げられる。
Microsoft
Amazon Web Services (AWS)
IBM
Cisco
McAfee
Fortinet
Symantec
Trend Micro
Palo Alto Networks
Dell Technologies
ゼットスケーラー(ZS)の最近の財務動向
四半期別総収益(Total Revenue:青色の列)は目覚ましい成長軌道を維持している。
また、四半期別営業利益(Operating Income:赤色の線)は、足元、赤字幅が縮小している。
四半期別売上総利益率(Gross Profit Margin:緑色の線)は、最近の四半期では若干低下傾向にある。
四半期別総売上高に占める販売費および一般管理費(Selling, G&A % Of Revenue:茶色の線)の割合は、最近顕著に低下しており、これは収益増加の効率化を示す好結果である。
希薄化後1株当たり利益(Earnings Per Share:赤色の線)はマイナスのままであるが、以下のグラフが示すように、ここ数四半期は堅実な成長を遂げている。
(上記グラフのデータは全てGAAPベース)
過去12ヶ月で、同社の株価は32.91%上昇したのに対し、クラウドストライク(CRWD)の上昇率は42.95%だった。
下のグラフが示すように、この2銘柄は過去1年間、非常に似た軌跡をたどっている。
貸借対照表では、同社は現金同等物、並びに、短期投資資産で21億ドル、負債総額11億4,000万ドルで四半期を終えた。
12ヵ月間のフリーキャッシュフローは3億6,510万ドルで、この間の資本支出は9,720万ドルであった。
ゼットスケーラー(ZS)のバリュエーションとその他の指標
以下は、ゼットスケーラーに関連するバリュエーションの表である。
指標(直近過去12ヵ月) | 値 |
企業価値 / 売上高 | 16.3 |
企業価値 / EBITDA | - |
株価売上高倍率 | 16.5 |
売上高成長率 | 48.2% |
純利益率 | -12.5% |
EBITDAマージン | -12.1% |
時価総額 | $27,160,000,000 |
企業価値 | $26,280,000,000 |
営業キャッシュフロー | $462,340,000 |
一株当たり利益(完全希薄化後) | -$1.41 |
予想EPS | $2.24 |
一株当たりフリーキャッシュフロー | $2.30 |
参考までに、上場会社の中で、同社と関連し、比較対象であるクラウドストライク(CRWD)のバリュエーションもこちらで言及したい。
指標(直近過去12ヵ月) | クラウドストライク | ゼットスケーラー | 差異 |
企業価値 / 売上高 | 17.6 | 16.3 | -7.5% |
企業価値 / EBITDA | - | - | - |
売上高成長率 | 44.1% | 48.2% | 9.4% |
純利益率 | -3.5% | -12.5% | - |
営業キャッシュフロー | $1,060,000,000 | $462,340,000 | -56.4% |
40%ルールとは、ソフトウェア業界の経験則であり、売上高成長率とEBITDA成長率の合計が40%以上であれば、その企業は、ソフトウェア企業として、許容できる成長とEBITDAの軌道に乗っていることを示すものである。
ゼットスケーラーの直近の調整前40%ルールの計算値は、2023年第2四半期決算時点で38.5%であった。
この点において、以下の表の通り、同社は良好であると言える。
40%ルール・パフォーマンス(調整前) | 2023年度第4四半期 |
売上高成長率 | 48.2% |
営業利益率 | -9.7% |
合計 | 38.5% |
ゼットスケーラー(ZS)に関するコメント
第4四半期、および、2023年会計年度の業績に関する前回の決算説明会では、同社の売上高が前年同期比で43%増加し、第4四半期には4億5,500万ドルに達したことが注目された。
この好業績は、計算上のビリング額(未収請求考慮後の売上高)が38%増加し、繰延収益が41%増加する等、様々な財務指標に反映されている。
GAAP基準の純損失は前年度から半減し、Non-GAAP基準の純利益は3,640万ドルから1億900万ドルに増加した。
通期では、売上高は前年比48%増の16億1,700万ドルに急増し、Non-GAAPベースの純利益は2億7,700万ドルに増加した。
この好業績は、同社のクラウド・セキュリティ・ソリューションの効果的な収益化と業務効率の高さを裏付けている。
アナリストは、市場でのポジショニング、財務ガイダンス、競争戦略について経営陣に質問した。
経営陣は、同社はゼロ・トラストSASEで市場をリードし、ワークロード・プロテクションのような新興製品を開発し、従来のファイアウォール関連の競合他社に対抗して、データ・プロテクションのリーチを広げることに注力していると答えた。
将来の財務ガイダンスについて、経営陣は、グローバルなマクロ環境を考慮し、将来の見通しをより良くするために、ランプ・ディール(複数年契約)を活用しながら、財務ガイダンスにおいて、楽観主義と慎重さのバランスをとっている。
競争戦略のアプローチとして、同社は、特にAIとデータ保護における革新的な製品に重点を置きながら、より広範な市場浸透のためにチャネル戦略を強化し、競争環境をナビゲートしている。
同社は、2023会計年度を通じて目覚ましい成長を遂げ、戦略的な製品を開発し、結果として、業界で高く評価されることとなった。
同社の堅固なガバナンス・フレームワーク、強固な財務体質、そして、積極的な市場参入といった点を踏まえると、サイバーセキュリティ分野の重要なプレーヤーとして、同社は魅力的な投資対象であるように見える。
以上より、ゼットスケーラーに対する私の見通しは「強気」である。