AIネイティブの逆襲:なぜ新興企業はSaaSの巨人を凌駕するのか? Pt.1


注: 本稿は、以前のエンタープライズソフトウェアに関するレポートを拡充するものです。そのレポートにおいて、ある購読者の方から投資回収期間の計算結果に食い違いがあるとのご指摘をいただきました。私たちが四半期売上高の変化に売上総利益率を掛けるべきところを、誤って四E期売上総利益の変化に売上総利益率を掛けてしまっていたことが原因でした。現在は修正済みであり、傾向や回収期間の分類に大きな変更はありませんが、皆様ご自身でご確認いただき、フィードバックをいただければ幸いです。
2022年後半にChatGPTが登場したとき、期待は現実をはるかに上回っていました。2024年までには、データガバナンス、顧客との信頼関係、そして確立されたワークフローを持つSaaSの既存大手こそが、AI能力の急伸から最も恩恵を受ける立場にあるという見方が主流でした。
しかし、「AIアプリケーションの年」と広く呼ばれる2025年に入ると、その潮流は逆方向に傾き始めました。Cursor、Replit、WindsurfといったAIネイティブ(AI技術の利用を前提として創業された企業)の先駆者たちは、今や真の脅威と見なされています。彼らは、既存企業が追いつくのに苦労する「クリーンな設計(clean-slate architectures)」と迅速なイテレーション(反復開発)で突き進んでいます。
それでもなお、AIの第一波(生成AI)も、第二波の初期段階(エージェント型AI)も、まだ既存のプレイヤーを王座から引きずり下ろしてはいません。私たちが見ているのは、その初期の兆候です。具体的には、投資回収期間の悪化や、シートベースSaaS(ユーザー数課金モデルのSaaS)からの明確な資本の移動が見られますが、これが一時的なサイクルなのかはまだ分かりません。ここから得られる教訓は明らかです。たとえAIの短期的な影響が、喧伝されていたほど劇的ではなく段階的なものであったとしても、価値創造のあり方を再構築する長期的なポテンシャルは依然として存在します。そして、技術スタックにおける自らの役割を再創造しようと意欲を持つ者だけが、生き残ることができるのです。
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