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09 - 18 - 2024

やや強気
ロールス・ロイス・ホールディングス
やや強気
過去の問題から現在も割安で取引されていますが、将来的な成長の可能性は十分にあるように見えます。 特に、核エネルギー分野での進展や最近の財務状況の改善が注目されます。
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ロールス・ロイス(RYCEY)の将来性:最新決算は好調で株価上昇!注目の核・原子力関連株の今後の株価見通しに迫る!

ジェームズ・ フォードジェームズ・ フォード
  • 本稿では、注目の核・原子力関連株であるロールス・ロイス(RYCEY)の最新決算分析を通じて、同社の足元の株価が上昇している理由に加え、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • ロールス・ロイスは過去10年間で財務面での課題に直面し、特に2015年の配当削減やCOVID-19による収益減少が影響しましたが、2023年に成長とコスト管理により財務回復を遂げました。 
  • 民間航空部門では、UltraFanエンジンの成功や大型エンジンの受注増加が見られ、防衛部門でも地政学的緊張に伴う成長が期待されています。
  • パワーシステム部門は受注増加と安定性を維持し、新市場部門ではSMR(小型モジュール炉)の開発が進められています。 
  • DCF法に基づく推定値によれば、ロールス・ロイスはまだ割安で、核エネルギー分野での進展や財務改善が注目される投資先と見られていますが、米国主要取引所で取引されていないことに伴うリスクも考慮が必要です。

※「カメコ(CCJ:Cameco)の将来性:ウラン市場の分析を通じて、注目の核(原子力)関連株の今後の株価見通しに迫る!」の続き

ロールス・ロイス(RYCEY)に何が起こったのか?

ロールス・ロイスRYCEY)は、英国を拠点とする防衛および航空宇宙のリーダーであり、過去10年間で多くの財務面での課題に直面してきました。

同社の4つの主要部門である「民間航空宇宙(Civil Aerospace)」「防衛(Defense)」「パワーシステム(Power Systems)」「新市場(New Markets)」は、商業用および軍事用ジェットエンジン、推進システム、小型原子炉を製造しています。

昨年から既に160%以上上昇していますが、まだまだ成長の余地があるように見えます。

(出所:Trendpsider

上記のチャートからも分かる通り、2014年のピーク以降、ロールス・ロイスの株価は長期にわたり下落傾向にあります。

売上は増えているものの、利益が減少したため、2015年には配当を削減しました。

さらに、COVID-19のパンデミックで世界の航空需要が止まり、特に民間航空部門で大きな打撃を受け、収益が大幅に減少しました。

この結果、大量の株が売却され、株価が急落し、同社の財務健全性に対する懸念が高まりました。

(出所:Alphaspread

同社のバランスシートには特に問題があり、高額な負債が重荷となっていました。

現時点での負債が財務的な圧力を強め、十分なプラスのキャッシュフローがないために悪循環に陥るリスクも抱えていました。

しかし、同社は現時点で安定し、下降傾向を一時的に食い止めることに成功しており、2023年の年初来で株価が100%以上上昇しています。

(出所:Alphaspread

ロールス・ロイス(RYCEY)の驚くべき復活劇

最近の四半期で、ロールス・ロイス(RYCEY)は成長と徹底したコスト管理により、見事な財務回復を遂げています。

2023年上半期には売上が28%増加し、マージンの改善と3億5600万ポンドのフリーキャッシュフローを達成しました。

この回復により、純債務も大幅に減少しています。

民間航空部門(Civil Aerospace):復活の原動力

ロールス・ロイス(RYCEY)の民間航空部門は、航空需要の回復を背景に2023年上半期には38%、2024年上半期には26%もの成長を遂げました。

同社の売上高は主に大型エンジンの販売によるもので、特にワイドボディ機向けが中心です。

注目すべきは、新たに開発されたUltraFanエンジンで、100%持続可能な航空燃料に対応できる点が特徴です。

また、2018年以来初めて大型エンジンの受注が増加しており、エア・インディアからの大口注文などがその一例です。

UltraFanデモンストレーターの初試験が成功したことで、次世代の航空技術においてもロールス・ロイスは有利な立場を築いています。

(出所:ロールス・ロイスの2023年上期決算資料)

(出所:ロールス・ロイスの2024年上期決算資料)

防衛部門(Defense):地政学的緊張による追い風

防衛部門も成長を遂げており、特にウクライナ情勢などの地政学的リスクの高まりがその追い風となっています。

ロールス・ロイス(RYCEY)のジェットエンジン技術は国際的に評価されており、英国、日本、イタリアが共同で進めるグローバル・コンバット・エア・プログラム(GCAP)の本部に英国が選ばれたことで、さらに注目を集めています。

また、サウジアラビアも近く参加する見通しで、ロールス・ロイスは防衛技術の分野で世界的なリーダーとなるための絶好の位置にいます。

(出所:ロールス・ロイスの2023年上期決算資料)

(出所:ロールス・ロイスの2024年上期決算資料)

パワーシステム部門(Power Systems):成長と安定性

ロールス・ロイス(RYCEY)のパワーシステム部門は、堅調な受注増加とブック・トゥ・ビル・レシオ(BBレシオ)が1.3と好調な状況にあります。

ブック・トゥ・ビル・レシオとは、新規受注額を出荷額で割った指標です。

1.3という値は、受注額が出荷額を上回っていることを示し、会社が堅調に成長している状況を意味します。

この部門の売上は、船舶や鉱業向けの据え置き型発電設備や移動式電源ソリューションの販売が好調となっています。

既に2023年の残りと2024年の一部の売上高が受注残で確保されており、安定した成長が見込まれています。

パワーシステム市場は今後10年間で年平均7%の成長が予測されており、長期的な可能性を秘めています。

(出所:ロールス・ロイスの2023年上期決算資料)

(出所:ロールス・ロイスの2024年上期決算資料)

ロールス・ロイス(RYCEY)の核エネルギー分野での革新

ロールス・ロイス(RYCEY)の復活劇は、財務の回復だけでなく、核エネルギー分野での革新にも焦点が当たっています。

同社の「新市場(New Markets)」部門では、小型モジュール炉(SMR)の開発が進められています。

これは、工場で組み立てられる小型の原子炉で、エネルギー生産に革命をもたらす可能性があります。

設置が容易で、規制のハードルを回避することも期待されています。

SMRプロジェクトは投資の唯一の理由ではありませんが、成功すればロールス・ロイスにとって大きな成長の機会となるため、今後の成長が期待される分野です。

(出所:ロールス・ロイスの2023年上期決算資料)

電力需要がロールス・ロイス(RYCEY)の核エネルギー戦略を後押し

AIや技術の進化によりデータセンターへの需要が急増し、安定したエネルギーソリューションへのニーズが高まっています。

ロールス・ロイス(RYCEY)のPower Generation Solutionsや新市場(New Markets)部門は、こうしたニーズに対応するため、ディーゼル発電機、バッテリー蓄電、さらには小型モジュール炉(SMR)といった製品を提供しています。

大手IT企業が電力消費の増加を報告する中、SMRは高いエネルギー需要を持つAIデータセンターの電力供給に重要な役割を果たす可能性があります。

これは、クリーンで信頼性のあるエネルギーへの世界的な動きと合致しており、Equinixなどの企業もすでに将来のデータセンターに核エネルギーの活用を検討しています。

ロールス・ロイス(RYCEY)への受注の増加と新たなビジネスチャンス

2024年上半期に、ロールス・ロイス(RYCEY)のパワーシステム部門(Power Systems)は前年同期比で26.3%増の24億ポンドの受注を達成し、ブック・トゥ・ビル・レシオは1.3倍という堅調な結果を示しました。

これは、防衛や公益事業だけでなく、データセンターなどさまざまな分野で電力ソリューションの需要が増加していることを反映しています。

世界的なクリーンエネルギーの推進と従来のエネルギー供給の制約が重なり、ロールス・ロイスはSMRの導入拡大から利益を得る絶好の機会にあります。

そして、同社は現在、英国をはじめとする各国で規制承認に向けた活動を進めています。

ロールス・ロイス(RYCEY)のデータセンターとSMR:理想的な組み合わせ?

特にAIワークロードをサポートするデータセンターは、ますます電力を必要としています。

例えば、AI専用のデータセンターでは、通常の32MWに対して最大80MWの電力が必要となることもあります。

従来の電力インフラが老朽化し、頻繁に障害が発生している現状で、Digital RealtyやEquinixなどの企業は、安定した電力供給を確保するために最先端の核エネルギー技術を模索しています。

現在開発中のロールス・ロイス(RYCEY)のSMRプロジェクトは、こうした高いエネルギー需要を持つデータセンターの課題に対処する上で、重要な役割を果たす可能性があります。

ロールス・ロイス(RYCEY)のバリュエーション

(出所:Alphaspread

上記のグラフからも分かる通り、DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)に基づく推定値によれば、ロールス・ロイス(RYCEY)はまだ少なくとも37%割安である可能性があるように見えます。

ロールス・ロイス(RYCEY)に対する結論

ロールス・ロイス(RYCEY)は、高リスクを取ってでも大きなリターンを狙いたい投資家にとって、魅力的な投資先であるように見えます。

過去の問題から現在も割安で取引されていますが、将来的な成長の可能性は十分にあるように見えます。

特に、核エネルギー分野での進展や最近の財務状況の改善が注目されます。

このような理由から、私の1つのポートフォリオである「YOLOポートフォリオ」のような投機的な銘柄に投資するポートフォリオに加えるのも良いのではないかと考えています。

しかし、米国の主要取引所で取引されていない銘柄に伴うリスクには注意が必要でしょう。


アナリスト紹介:ジェームズ・ フォード

ジェームズ・フォード氏は、エコノミストとして、過去10年に渡り、世界市場の分析に従事してきました。そして、自らを「実践的な投資家」と位置付け、資産を継続的に維持・拡大させることを目的とした、分散されたポートフォリオの構築に重点を置いています。

主に、「グローバル・マクロ」、「ハイテク」、「コモディティ」、「暗号通貨」関連銘柄に焦点を当て、ファンダメンタル分析、並びに、テクニカル分析を用いた企業分析を提供しております。

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