エア・テスト・システムズ(AEHR)の将来性:最新の2025年度第1四半期決算は市場予想を上回る好調な着地!
ダグラス・ オローリン- 本稿では、注目の米国半導体銘柄であるエア・テスト・システムズ(AEHR)の2024年10月10日に発表された最新の2025年度第1四半期決算分析を通じて、同社の将来性を詳しく解説していきます。
- エア・テスト・システムズは、シリコンカーバイドやガリウムナイトライドなどの先進パワー半導体デバイスのテストに強みを持ち、主に電気自動車や5G通信向けの市場で需要が高いアメリカの半導体関連企業です。
- 2025年度第1四半期決算では、EPSと売上高が市場予想を上回り、売上高は少なくとも7,000万ドルを目指す見通しが示されています。
- GaNパワー半導体の分野で進展があり、新規顧客との交渉が進行中で、消耗品ビジネスの成長も見られ、競争が激化しているが、同社は依然として優位を保っているように見えます。
※「TSMCの半導体自動車関連ビジネスは底打ち?半導体関連自動車セクターとテレコム(情報通信)セクターの今後の見通しに迫る!」の続き
エア・テスト・システムズ(AEHR)の最新の2025年度第1四半期決算
エア・テスト・システムズ(AEHR)は、半導体業界向けの試験装置およびバーンインシステムを提供するアメリカの企業です。
特に、シリコンカーバイド(SiC)やガリウムナイトライド(GaN)などの先進的なパワー半導体デバイスのテストとバーンイン(耐久性を確認するための高温・高電圧環境でのテスト)に強みを持っています。
これらのデバイスは、電気自動車(EV)、再生可能エネルギーシステム、5G通信などの分野で重要な役割を果たしており、同社の製品はこれらの市場において高い需要があります。
まず最初に、エア・テスト・システムズが最近コントロール条項を変更した点に触れておきたいと思います。
個人的には興味深い変更ではありますが、それだけで投資判断をするほどではありません。
ちなみに、会長は以前コフ(COHU:半導体業界向けのテストおよびハンドリング装置を提供するアメリカの企業)で働いていたので、今後何か進展があるかもしれません。
以前はエア・テスト・システムズに対して弱気でしたが、今は特に強い意見もなく、しばらく静観したほうがいいかもしれないと思っています。
同社は基本的に一つの製品に依存している企業です。
彼らは今後参入する市場について話していますが、現状は主にシリコンカーバイドを使ったオン・セミコンダクター(ON)向けの事業がメインです。
将来的には競争が激化するでしょうし、私個人としてはGayn CEOにもあまり信頼を置いていません。
それでは、2024年10月10日に発表された最新の2025年度第1四半期決算を見ていきましょう。
2025年度第1四半期決算
・EPS(特別項目除く):0.07ドル(FactSet予想:0.02ドル)
・売上高:1,310万ドル(FactSet予想:1,220万ドル)
・受注額:1,680万ドル
・2024年8月30日時点の受注残:1,660万ドル
2025年会計年度のガイダンス(2025年5月期)
・売上高は少なくとも7,000万ドルと再確認(FactSet予想:7,120万ドル)
・税引前利益は売上高の少なくとも10%と再確認
ここで少し自分の考えを述べたいと思います。
まず、私は同社の株価見通しについて特に強い意見はありませんが、まず、同社は最大の顧客であるオン・セミコンダクター(ON)が来年大きく成長すると見込んでいます。
そして、私は、自動車株に関しては引き続き強気です。
ニュースでは色々と言われていますが、在庫は減少し続けており、金利が下がれば自動車の販売も回復することと見ています。
さらに、販売台数が減少しても、車両単価の上昇で十分にカバーできる可能性があります。
下記は、エア・テスト・システムズの最新の決算説明会における遣り取りの一部です。
(原文)So these are customers that have the potential to buy significant volumes perhaps even as big as our biggest customer to begin with. We also believe that our largest customer is doing extremely well in the market and is going to grow substantially, both in capacity and design wins over the next several years. So they seem to be doing very, very well in the market.
(日本語訳)これらの顧客は、当社の最大顧客に匹敵するほどの大口注文をしてくれる可能性があります。また、最大顧客は市場で非常に好調で、今後数年で生産能力やデザイン採用で大きく成長すると見込んでいます。市場で非常に順調にいっているようです。
そして、GaN(窒化ガリウム)関連の顧客は、おそらくSTマイクロエレクトロニクス(STM)だと考えています。
X(旧Twitter)においてRavi_711がSTマイクロエレクトロニクスの遅延と一致すると指摘しており、近々STマイクロエレクトロニクスから発表があり、これが株価にプラスの影響を与える可能性があります。
(原文)Now let me move on and discuss our progress with testing and burn-in in gallium nitride power semiconductors. We're now in negotiations with our first gallium nitride customer or GaN customer for volume production wafer level test and burn-in of their devices. We've been working closely with them. And over the past year, they have purchased and we have delivered a significant number of WaferPaks to successfully qualify a wide range of GaN device types aimed at multiple different markets, including consumer, industrial and automotive.
(日本語訳)では次に、窒化ガリウム(GaN)パワー半導体のテストおよびバーンインに関する進展についてお話しします。現在、初めてのGaN顧客と、そのデバイス向けの量産に向けたウエハーレベルのテストとバーンインに関して交渉中です。この1年間、密に連携してきた結果、彼らは多くのWaferPak(半導体テストの際に使用される専用のアダプタで、ウエハーレベルでのテストやバーンインを効率的に行うための装置)を購入し、私たちはそれを提供しました。これにより、消費者向け、産業向け、自動車向けなど、複数の市場に対応した幅広いGaNデバイスの認定を成功させています。
彼らは、エヌビディア(NVDA)以外の企業に対するバーンインアクセラレータ(半導体デバイスの信頼性を確保するために使用される装置)の販売やシリコンフォトニクス(シリコンを使って光信号を処理する技術で、通信速度の向上やデータ伝送の効率化を目的としている)の進展について話し、WaferPakの消耗品がどれだけ売れているかにも触れていました。
実際、今期はシステムの販売というよりも、消耗品の売上が中心でした。
個人的には、消耗品ビジネスは設備ビジネスよりも価値が高いと考えているので、これは良い兆候だと思います。
最後に一つ言うと、Pentamaster(マレーシアを拠点とする企業で、主に自動化システムおよびテストソリューションを提供)が8枚ウエハー対応の新しいソリューションを発表し、エア・テスト・システムズの18枚ウエハー対応ソリューションと競合し始めています。
競争が激しくなってきていますが、現時点ではエア・テスト・システムズが依然として優位に立っているのは明らかです。
(出所:PentamasterのHP)
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