Part 2:自動車用半導体市場の転換点:電気自動車(EV)とシリコンカーバイド需要急増で恩恵を受ける注目の割安の半導体銘柄一覧

- 自動車用半導体株は、今年の市場のラリーの大部分を見逃している一方で、在庫の減少が始まっている。
- 2024年第2四半期まで在庫減少が続くと予想され、その後は売上高と在庫が急速に回復すると予想している。
- ヨーロッパからの需要増加と平均的なPERの水準を考慮すると、自動車用半導体株は今後好調に推移する準備が整っているように見える。
※「Part 1:自動車用半導体市場の今後の見通し:弱気から強気への転換点、2025年EU規制により電気自動車・シリコンカーバイド需要急増」の続き
自動車用半導体銘柄は割安で在庫が少ない
最後に、自動車用半導体株は今年のラリーの大部分を見逃していると考えている。
さらに、在庫、ガイドライン、その他のあらゆる基本的なニュースは今年これまでのところ主にネガティブであった。
しかし、今やこれらのネガティブなトレンドに終わりが見えており、在庫が減少し始めていると考えている。
そして、下記のグラフは、私が好んで作るサイクルグラフの定量的なバージョンである。
2024年第1四半期(1Q24)の在庫は、おそらくもう1四半期(2024年第2四半期)悪い状況が続くと思われるが、その後は売上高と在庫が急速に回復すると見ている。
過去4四半期は緑色で示されている。
2020年第1四半期(1Q20)と第2四半期(2Q20)の2つの悪い四半期に注目してほしい。
その後、2020年第3四半期(3Q20)と第4四半期(4Q20)には回復している。
※Automotive Semiconductor Cycle Tracker Revenue QoQ % (X-Axis) and Inventory QoQ % (Y-Axis):自動車用半導体サイクルトラッカー:四半期ごとの売上高増加率(X軸)と四半期ごとの在庫増加率(Y軸)
それはおそらく、実際に起こるべきだったものよりも劇的であったが、ついにサイクルの終わりに必要な結果が見えてきたと考えている。
2024年第2四半期は、ガイドラインに基づく四半期ごとの売上高減少と在庫縮小が続くが、その時点でサイクル的な反発に向けて十分な位置にあるはずである。
さらに、下記のチャートが示す通り、EPS(1株当たり利益)は縮小する一方で、PER(株価収益率)は比較的安定している。
そして、すべての企業がすでに大幅なEPSの収縮を経験していることを踏まえると、ついに来年の予測が上昇し、PERも拡大する時期が来ていると見ている。
このことを考えるもう一つの方法は、業績を通して考えることかもしれない。
足元、これらの企業は、過去数年間の平均価格で取引されている。
最後に、このデータを切り取る方法として、最も大きな売上高の減少を見てみたい。
それは、モービルアイ・グローバル(MBLY)、アナログ・デバイセズ(ADI)、そしてマイクロチップ・テクノロジー(MCHP)である。
私はアナログ銘柄に対して少し否定的な見方を持っているが、その偏見を超えて、今がその時期だと見ている。
モービルアイ・グローバルもこの視点から見ると興味深いし、STマイクロエレクトロニクス(STM)も同様である。
これもサイクルを判断する一つの方法であり、NXPセミコンダクターズ(NXPI)がサイクルをうまく管理している一方で、マイクロチップ・テクノロジーがうまくいっていないことがわかるだろう。
このことについては以前のレポートで解説している。
ヨーロッパからの需要増加、循環的に低い在庫が回復の準備が整い、平均的なPERの水準を考えると、自動車用半導体株は本当に好調になる準備が整っていると思う。
次の章では、特定の企業に対するいくつかの私の見解を共有したい。
自動車用半導体セクターにおける個別企業に対する私の見解
最も単純な株の買い方は、最も叩かれている銘柄を買うことである。
これにはアナログ銘柄も含まれるが、これらの銘柄も恩恵を受けるはずであると見ている。
最良のリスク・リワードは、インフィニオン・テクノロジーズ(IFX)、オン・セミコンダクター(ON)、STマイクロエレクトロニクス(STM)、およびローム(6963)などの堅実なIDM(垂直統合型デバイスメーカー)であり、NXPセミコンダクターズ(NXPI)も注目に値する。
これらは比較的安定した企業であり、エア・テスト・システムズ(AEHR)やウルフスピード(WOLF)のような問題を抱えていない。
SiC(シリコンカーバイド)の収益が回復するにつれて、EV市場の回復から最も恩恵を受けることが予想される。
次に興味深いのは、高品質なアナログ企業のグループである。
マイクロチップ・テクノロジー(MCHP)、テキサス・インスツルメンツ(TXN)、アナログ・デバイセズ(ADI)は、良好なエントリーポイントにあるが、IDM(垂直統合型デバイスメーカー)ほどEVの循環的回復から恩恵を受けることはないだろう。
これらの企業は売上高のピークから大幅に下落しており、これは長期的なエントリーポイントとしては良好であると考える。
リスクを取って挑戦したいなら、アレグロ・マイクロシステムズ(ALGM)、インディー・セミコンダクター(INDI)、モービルアイ・グローバル(MBLY)が注目すべき銘柄であると考える。
私は、モービルアイ・グローバルは多くの人々が懸念するような大幅な市場シェアの損失を経験していないと考えており、自動車の量が増えるにつれて、ADAS(先進運転支援システム)に特化した企業としての地位を取り戻すことが予想される。
しかし、既に述べたように、SiCはより有利な立場にあるため、これが注目すべき理由であると考えている。
さて、誰もが愛する問題の多い企業を深堀していきたい。
エア・テスト・システムズとウルフスピードは多くの人が注目しているため上昇する可能性があり、両社とも高値から70%以上下落していることを考えると、これは非常に理にかなっていると思う。
私はウルフスピードが破産する可能性がゼロではないため、エア・テスト・システムズを好んでいる。
長期的に見てエア・テスト・システムズをどのように評価するかは難しいところだが、ウルフスピードは債務問題を抱えている。
ウルフスピードは約60億ドルの負債(多くは転換社債)を抱えており、年間の売上高は8億ドルである。
そして、私は、ウルフスピードがこの穴から抜け出す方法や、株主が良いリターンを得る方法を見出せない。
しかし、これはまた、彼らが破綻しない限り、株価がかなり上昇する可能性があることを意味しており、SiCの上昇が株価に驚きをもたらす可能性がある。
以上が本稿における内容である。
このリストの上位にある「良いリスク・リワード」の企業は、来年も堅実な銘柄となる可能性が高いと見ている。
循環的な回復では、これらの企業は今後数年間で20%以上のEPSを達成し、高いPERで取引される可能性があると考えている。
自動車業界の物語は依然として長期的なものであり、中国の進出について懸念しているものの、現時点では在庫サイクルが主導権を握っている。
私の意見では、今がこれらの企業を検討する絶好のタイミングであると考えている。