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10 - 11 - 2024

やや強気
ウエスタン・ユニオン
やや強気
ウエスタン・ユニオン(WU)の現在の株価は11.59ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である13.83ドルよりも低い水準にあり、安全余裕率(マージン)が16.2%となっていることから、割安である可能性が示唆されています。
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ウエスタン・ユニオン(WU)の将来性:最新の2024年2Q決算は堅調!予想配当利回り8%と配当金0.235ドルは魅力的!

イアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、ウエスタン・ユニオン(WU:予想配当利回り8.13%・配当性向57%・1株当たり配当金0.235ドル)の2024年7月30日に発表された最新の2024年度第2四半期決算発表と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。 
  • そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
  • ウエスタン・ユニオンは世界的なマネートランスファー企業であり、安定した配当支払いを続けており、現在の配当利回りは8.13%とインカム投資家には魅力的な水準となっています。 
  • 同社の最新決算では、EPSが前年同期より減少したものの、売上高や利益の安定性を維持しており、長期的な市場の成長も予想されています。 
  • 財務面ではROICがWACCを上回り、資本の効果的な運用を示しており、株主価値の向上に貢献していますが、財務面では一部リスクも存在します。

ウエスタン・ユニオン(WU)の概要


レーティング:やや強気

バリュエーション:やや割安

リスクレベル:中リスク


セクター:クレジットサービス

現在の株価:11ドル

時価総額:39.1億ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:13.83ドル

安全余裕率(マージン):16.2%

過去5年間の配当成長率:4.70%

前回配当落ち日:2024年9月16日

前回配当支払い日:2024年9月30日

予想配当利回り:8.13%

過去5年間の売上高成長率:-1.10%

過去10年間の売上高成長率:1.70%


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

ウエスタン・ユニオン(WU予想配当利回り8.13%・配当性向57%・1株当たり配当金0.235ドル)は、1851年に設立され、米国コロラド州デンバーに本社を置く、世界的なマネートランスファーおよび金融サービスのリーダーです。

同社は、個人間送金を中心とした幅広い国際送金サービスを展開し、世界200を超える国と地域で顧客を持ち、約55万箇所の代理店ネットワークを通じてサービスを提供しています。

特に、手軽で迅速な国際送金が強みで、デジタル送金の需要が増加している現代においても、信頼性の高いオプションとして注目されています。

財務面では、収益の安定性を保ちながら、近年デジタルサービス部門の拡大が進んでおり、強固な市場地位を築いています。

配当株としての魅力も高く、安定した配当支払いを継続している点がインカム投資家に支持されています。

そして、同社は2024年7月30日に2024年第2四半期決算を発表しています。


ウエスタン・ユニオン(WU)の最新の2024年度第2四半期決算発表に関して

ウエスタン・ユニオン(WU)の2024年7月30日に発表された、最新の2024年度第2四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは0.44ドルを記録し、第1四半期の0.41ドルから増加しましたが、前年同期(2023年第2四半期)の0.51ドルからは減少しています。

希薄化後のEPSは前四半期と同じく0.41ドルで、安定した結果を維持しています。

1株当たりの売上高は第1四半期の3.035ドルから3.14ドルに上昇しました。

一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、下記のチャートからも分かる通り、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は0.60%で、過去10年間の年平均成長率はマイナスであることが分かります。

また、2024年第2四半期の粗利益率は37.91%で、過去5年間の中央値である41.54%、および、過去10年間の中央値である41.26%を下回っています。

さらに、同社の過去1年間の自社株買い比率は9.80%と非常に高く、過去1年間で全株式の9.80%が買い戻されていることを意味しています。

この積極的な自社株買いにより、売上が変動していてもEPSが安定している可能性があります。

過去10年間の平均自社株買い比率は4.20%であり、株主に対する価値還元の取り組みが続けられていることがわかります。

業界全体の予測では、今後10年間で年平均約4%の成長が見込まれています。

市場のアナリストの見立てでは、2026年末までに同社の売上は4,279.11百万ドルに増加すると予想されています。

また、来年度の予想EPSは1.688ドル、さらに再来年度には1.805ドルに達すると予想されており、自社株買いや安定した売上予測を背景に、ウエスタン・ユニオンの今後の見通しは慎重ながらも前向きであるとされています。

次回の決算発表は2024年10月25日に予定されています。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ウエスタン・ユニオン(WU)の財務パフォーマンスに関して

ウエスタン・ユニオン(WU)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)、加重平均資本コスト(WACC)、自己資本利益率(ROE)の観点から分析していきます。

同社は、ROICが常にWACCを上回っており、経済的な価値の創出が顕著となっています。

過去5年間のROICの中央値は15.37%、現在のROICは11.52%で、いずれも過去5年間のWACCの中央値である6.01%、および、現在の6.00%を大きく上回っています。

このROICとWACCの差は、同社が資本を有効に活用し、コストを上回るリターンを生み出していることを示しており、株主価値の向上に寄与していると言えます。

また、この差が大きいことから、同社が資本を効果的に再投資し、高いリターンを生み出すプロジェクトや事業に適切に配分していることがわかります。

さらに、ROEも高く、過去に変動があったものの、株主資本に対して堅調な収益性を示しています。

ただし、過去にマイナスの自己資本を記録した時期もあるため、財務面で不安定な時期があったことは留意すべき点でしょう。

全体として、ウエスタン・ユニオンのパフォーマンス指標は、継続して経済的な価値を創出する能力を示していることからも、魅力的な投資先として検討する価値があるように見えます。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ウエスタン・ユニオン(WU)の配当に関して

下記のチャートからも分かる通り、ウエスタン・ユニオン(WU)は1株あたり0.235ドルの安定した配当を支払っており、直近の配当落ち日は2024年9月16日でした。

予想配当利回りは8.13%と、過去10年の中央値である3.82%を大きく上回っており、歴史的な水準と比べても非常に魅力的な配当利回りを提供しています。

しかし、同社の過去3年間の配当成長率はわずか1.50%と低水準となっている点には注意が必要でしょう。

一方で、配当性向は57%で、過去10年の最高水準である100%超と比べて大幅に低く、現在はより健全な配当政策が維持されていることがわかります。

ただし、同社のEBITDA有利子負債倍率は2.70倍で、中程度の債務水準にあり、管理可能な範囲ではあるものの、引き続き慎重な対応が求められる状況です。

基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。

次の配当落ち日は、2024年12月16日(月曜日)になると予想されており、これは四半期ごとの配当スケジュールに沿っています。

総合的に見て、予想配当利回りは非常に魅力的ですが、今後の配当成長の見込みが不透明なことや、高い債務水準は長期的な投資家の懸念事項となる可能性があるでしょう。

予想配当利回り:8.13%

配当性向57%

配当カバレッジ・レシオ:1.73倍

過去5年間の配当成長率:4.70%

EBITDA有利子負債倍率:2.7倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ウエスタン・ユニオン(WU)のバリュエーションに関して

ウエスタン・ユニオン(WUの現在の株価は11.59ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である13.83ドルよりも低い水準にあり、安全余裕率(マージン)が16.2%となっていることから、割安である可能性が示唆されています。

さらに、予想PERは6.37倍で、将来の収益成長や安定性が期待されている一方で、セクター全体と比較して同社が割安である可能性を示しています。

直近過去12カ月間の実績ベースのEV/EBITDA倍率は3.74倍で、過去10年の最低値である3.64倍に近く、中央値の6.90倍よりも大幅に低い水準にあります。

これは、同社がEBITDAに対して魅力的なバリュエーションを受けていることを示しています。

一方で、実績ベースのPBRは8.85倍と過去10年の中央値である10.19を下回っており、純資産に対してやや過小評価されている可能性もあります。

しかし、同社のPBRの変動幅は大きいため、その解釈には注意が必要です。

加えて、市場のアナリストのバリュエーションや目標株価はややポジティブで、現在の目標株価の平均値は12.88ドルですが、3か月前の13.36ドルからやや下方修正されています。

この目標株価の引き下げは、短期的な成長や収益性改善への期待が少し控えめになっていることを示しています。

それでも、弊社算出の一株当たり本質的価値や市場のアナリストの目標株価の平均値を踏まえると、現在の株価は割安であるように見え、バリュー投資志向の投資家にとっては、リスクを承知の上であれば魅力的な投資機会となる可能性があるでしょう。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

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ウエスタン・ユニオン(WU)のリスクとリターンに関して

ウエスタン・ユニオン(WUのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います

同社は、主要な指標から見て大きな財務リスクに直面しているように見えます。

特に、売上債権回収期間が延びていることは、支払い回収に苦労している可能性を示し、同社のキャッシュフローに圧力をかける恐れがあります。

また、過去5年間で1株当たりの売上高が減少していることは、売上の勢いを維持するのが難しくなっていることを示唆しています。

さらに、アルトマンのZスコアが0.98と「危機ゾーン」にあり、今後2年以内に破綻のリスクが高まっている可能性があります。

一方でプラス面では、前向きに捉えられる要素もあります。

ベニッシュのMスコアは-2.98と、利益操作の可能性が低いことを示しており、同社の財務報告の透明性が高いことを意味しています。

また、営業利益率が拡大しており、これは業務効率やコスト管理が改善していることを示す良い兆候です。

さらに、株価は10年ぶりの低水準にあり、株価売上高倍率も歴史的に低い水準にあるため、投資家にとって割安感があると考えられます。

加えて、予想配当利回りも10年ぶりの高水準にあり、投資家にとって魅力的な収益源となっています。

以上より、ウエスタン・ユニオンの財務リスクには注意が必要ですが、これらのポジティブな要素は、リスクを取っても割安な株価や高配当を狙いたい配当収入を求めるインカム投資家にとって魅力的に映るかもしれません。

最終的に、投資家はこれらの要素を慎重に考慮し、自分のリスク許容度や投資戦略に基づいて判断する必要があるでしょう。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ウエスタン・ユニオン(WU)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

ウエスタン・ユニオン(WU)の過去1年間のインサイダー取引を見ると、ほとんど動きがなく、この12か月でインサイダーによる同社株式の買い付けは1件のみで、売却は確認されていません。

このインサイダーによる取引の少なさは、同社の関係者が同社の株価や今後の見通しについて安定した評価を持っていることを示している可能性が考えられます。

ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか2.37%で、同社への影響力は比較的少なく、同社の戦略的意思決定に与える影響も限定的だと考えられます。

一方で、プロの機関投資家の同社株式の保有比率は91.20%と非常に高く、同社の長期的な成長性に対する強い信頼が伺えます。

機関投資家は、投資を決定する際に慎重な調査を行うため、これだけの高い比率は、同社株式に対する前向きな見通しを反映していると言えるでしょう。

総合的に見て、ウエスタン・ユニオンのインサイダー取引は安定しており、市場での評価は主に機関投資家に依存していると言えます。

また、インサイダーによる売却がない点からも、同社内での将来に対する自信が示されていると解釈できます。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


ウエスタン・ユニオン(WU)の流動性に関して

ウエスタン・ユニオン(WU)の流動性分析では、いくつかの重要なポイントが浮かび上がっています。

まず、同社の出来高に関しては、直近取引日の1日あたりの出来高は4,560,677株で、過去2か月の平均出来高である3,648,947株を大きく上回っています。

これは、同社株式の取引が活発化していることを示しており、市場での関心の高まりや価格変動の可能性が考えられます。

また、同社のダークプール指数(DPI)は37.91%となっています。

この数字は、公開市場以外の「ダークプール」で行われる取引の割合を表しており、37.91%という数値は、機関投資家が同社株式を積極的に取引していることを示唆しています。

総じて、足元の出来高が最近の平均を上回り、ダークプールでの取引も多いことから、ウエスタン・ユニオンの流動性は非常に高く、投資家が大きな価格変動を招くことなくスムーズに売買できる環境にあるといえます。

この状況は、小口投資家から機関投資家まで、効率的な取引を目指す全ての投資家にとって有利な条件といえるでしょう。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

イアニス・ゾルンパノス氏は、詳細なビジネス分析を通じてデューデリジェンス・プロセスを向上させることを目的とした株式市場調査プラットフォーム、「イアゾウ・キャピタル・リサーチ」の創設者です。

以前はデロイトとKPMGで外部監査と内部監査、並びに、コンサルティング業務に従事しておりました。ゾルンパノス氏は、公認会計士資格を保有し、ACCAグローバルのフェロー・メンバーでもあります。更に、英国の一流ビジネススクールで学士号と修士号を取得しております。

ゾルンパノス氏のその他の配当関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ゾルンパノス氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。

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