07/23/2026

やや強気
エンフェーズ・エナジー
やや強気
800V DC移行とSST参入による将来の成長性を評価
AIインフラ構築の次フェーズを捉えるポートフォリオ再編(Part 2):800V DC、パワー半導体、フォトニクス、製造装置

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記事要約

    ■800V DCとSSTへのシフト
    データセンターの大電力化に伴い、高電圧化とソリッドステート変圧器(SST)への移行が加速。双方向電力変換技術を持つエンフェーズ(ENPH)とソーラーエッジ(SEDG)を新たなペアポジションとして組入れ。

    ■GaNピュアプレイのナビタス
    ナビタス・セミコンダクター(NVTS)は800V DC移行におけるGaN(窒化ガリウム)の最も純粋なハイベータ投資先。中国頼みの低価格市場からデータセンター電源市場へ鮮やかに転換。

    ■フォトニクスにおけるTower集約
    ルーメンタムを売却し、光ICと電子ICの接合の決定的なボトルネックであるハイブリッドボンディングの技術を誇るタワー・セミコンダクター(TSEM)および地上・宇宙光通信を牽引するメイコム(MTSI)へ資本を集中。

この記事は約 9 分で読むことができます。(記事文字数:約 4,400 文字)

※本記事は「AIインフラ構築の次フェーズを捉えるポートフォリオ再編(Part 1)」の続編となります。あわせてご覧いただくことで、ポートフォリオ全体の戦略をより深くご理解いただけます。


1. 電力エレクトロニクスと800V DC移行


Enphase Energy(ENPH)& SolarEdge(SEDG):800V DCとSSTへのシフト

Convequityでは、エンフェーズ(ENPH)とソーラーエッジ(SEDG)を、AIデータセンターの電力システムを支える注目銘柄ペアとして位置づけています。両社はいま、800V DCアーキテクチャやメガワット級の巨大ラックへの移行という、データセンター業界の大きな電源構造の変化の中で再評価が進んでいます。

従来のような銅線を多用した電力供給方式は、大電力化によって物理的な限界を迎えています。そこで、より高い電圧で送電し、半導体技術を活用したソリッドステート変圧器(SST: Solid-State Transformer)へと切り替える動きが加速しています。エンフェーズは、住宅用蓄電システムなどで培った「電力を双方向に効率よく変換する技術」に強みを持っています。同社は2026年4月に「IQソリッドステート変圧器」を発表し、AIデータセンター分野への参入を打ち出しました。これは先行するソーラーエッジを追う動きであり、両社が持つ高い電力変換ノウハウが、AIデータセンターの現場でも極めて強力な武器になることを示しています。

この投資アイデアのポイントは、データセンターの電力インフラがこれからどう進化していくかにあります。電力会社からの供給電力は通常13kVなどの高い電圧で届きますが、これをAIサーバーのラックが求める800V DCまで下げる必要があります。次世代のSSTを使えば、この変圧を単一のコンパクトで高効率なユニットで直接行えるようになります。さらに双方向設計のため、データセンター側から電力網(グリッド)へ電力を戻し、ピーク時の電力融通や蓄電ビジネスに活用することも可能になります。

EV(電気自動車)と比べても、データセンターの電力負荷は極めて複雑です。大量のGPUが一瞬で稼働・停止する際の急激な電力変動を柔軟に吸収しながら、万が一の故障が数十億円規模のシステム全体に及ばないよう厳格な安全保護を提供しなければなりません。エン

フェーズとソーラーエッジの設計ノウハウは、まさにこの過酷な要求に応えるものです。800V DCの普及はまだ始まったばかりですが、今後の大きな技術転換期に向けて、先行ポジションを構築する絶好のタイミングと捉えています。

割安感の面でも、株価調整を経てエンフェーズやソーラーエッジは魅力的なバリュエーション水準にあります。市場はまだAIデータセンター向けというこの企業の新たな側面を完全には織り込んでいません。我々は両社を合わせたペアポジション(約1%)を新たに設定し、電力変換セグメントにおける大きな上昇ポテンシャルを狙っています。


Navitas Semiconductor(NVTS):800V DC移行におけるGaNのハイベータ本命株

ナビタス・セミコンダクター(NVTS)は、AIデータセンターの800V DC移行において、ガリウム・ナイトライド(GaN: 窒化ガリウム)という先端素材の成長を最もストレートに享受できる銘柄です。

AIサーバーの電力消費が跳ね上がる中、従来のシリコン(Si)半導体では電圧処理や発熱の面で限界が来ています。そこで登場するのが、高電圧でも超高速・高効率で動作できるワイドバンドギャップ材料です。中でもGaN(窒化ガリウム)は高速スイッチング性能に優れ、800Vクラスの電源装置をコンパクトかつ高効率に仕立てるのに最適です。ナビタスは以前の低粗利なスマートフォン充電器市場から脱却し、より利益率の高いAIデータセンター市場へと舵を切ることで、「データセンター向け独立系GaNサプライヤー」としての確固たるポジションを固めつつあります。

さらに約2年前にはシリコンカーバイド(SiC)の専門チームを買収し、製品ラインナップを広げています。小型で専業度の高い銘柄ゆえにボラティリティ(株価の変動)は高めですが、その分データセンター電源の技術革新が加速した際のリターンは非常に大きくなります。ポートフォリオ内では約1.47%の比率を維持し、今後の成長を期待しています。


Infineon Technologies(IFX):800V DCエコシステムにおける最も成熟した大手

インフィニオン(IFX)は、AIデータセンター向け800V DCパワーエコシステムにおいて、技術的に最も成熟し、業界で最も広く採用されているリーディング企業です。

Nvidiaが800V DCアーキテクチャへの移行を提唱した際、インフィニオンはいち早く対応を進めました。そのため、同社は最も豊富なコンポーネント製品群を揃えており、電源システム設計者から最も多く採用される存在となっています。

ただし、インフィニオンは巨大な総合半導体メーカーでもあるため、AI電源向け事業の成長が会社全体の業績に与えるインパクトは希釈されやすい側面もあります。そのため、同社の技術的信頼性を高く評価しつつも、より集中したアップサイドが期待できるナビタス(NVTS)をメインに据え、インフィニオンへの新規買い増しは見送っています。


パワー半導体「予測不能バスケット」:STMicroelectronics(STM), onsemi(ON), Wolfspeed(WOLF)

STマイクロエレクトロニクス(STM)、オン・セミコンダクター(ON)、ウルフスピード(WOLF)の3社は、パワー半導体の中で予測不能バスケットとして位置づけています。将来の技術的ポテンシャルはあるものの、現状は業界全体の過剰在庫や地政学リスク、自動車市場の減速などの影響が大きく、投資の確信度が上回りづらい状況です。

- STMicroelectronics(STM): SpaceXとの連携などの話題はあるものの、欧州大手の慎重な動きや競争激化が重しとなっています。

- onsemi(ON): 高電圧向けGaNの開発を進めていますが、まだ実際の製品出荷や売上実績が乏しく、自動車市場への依存が続いています。

- Wolfspeed(WOLF): 超高電圧SiCの開発を目指す挑戦的な立場ですが、技術的ハードルや過去の業績課題があり、本格展開には時間がかかる見込みです。


2. サーバー内部の電力管理と主要プレイヤーの動き


Monolithic Power Systems(MPWR):サーバー・GPU基板上の電源管理

モノリシック・パワー・システムズ(MPWR)は、AIサーバーやGPUの基板上に直接載る、最も重要な最終段階の電源管理IC(PMIC)を供給しています。ラック全体が800V DCに高圧化する中で、精密な電圧制御と安全保護を担う同社の技術は欠かせない存在となっています。

同社は自社工場を持たないファブレス形態を生かし、NvidiaのBlackwellやRubinといった最新AIチップの激しい電力ロードマップにいち早く対応してきました。バリュエーションはやや高めですが、AIインフラ拡大の恩恵をダイレクトに受ける企業として、約0.49%の比率を維持しています。


Tesla(TSLA):比率を削減し、短期的な軸足をSpaceXへ移行

テスラ(TSLA)のポートフォリオ比率を1.81%から1%へ引き下げました。これはテスラを否定したわけではなく、EV需要が落ち着く中で、より明確な触媒を持つ「SpaceX」の成長機会へ資金を一部振り向けたためです。

残した1%のポジションは、将来的なテスラとSpaceXの連携や、人型ロボット「Optimus」、そして自社開発のAI半導体(AI5/AI6)という長期的な成長要素を評価したものです。イーロン・マスク関連企業がNvidiaの最新チップを大量確保していることからも、同社のAI半導体戦略の強さが伺えます。


3. フォトニクス(光通信)と先端製造装置


ルーメンタム vs タワー・セミコンダクター:フォトニクスにおける確信度の転換

フォトニクス(光通信)分野では、従来のルーメンタム(Lumentum)をすべて売却し、タワー・セミコンダクター(TSEM)へと資本を集中させました。

ルーメンタムは中国勢との価格競争や技術転換のリスクが意識される一方、タワー・セミコンダクターは光ICと電子ICを直接つなぐ最難関プロセスであるハイブリッドボンディング技術で決定的な強みを持っています。半導体の光化が進む中で、この技術的ボトルネックを握るタワーは、2020年代後半に向けて最も高い成長が期待できる銘柄です。


MACOM(MTSI):地上データセンターと宇宙光通信のダブル成長

メイコム(MTSI)は、地上のAIデータセンターと、宇宙空間での衛星間光通信という2つの高速化トレンドの両方で成長できる非常に有望な企業です。同社は超高速データ伝送に必要なアナログ半導体(アンプやドライバー)を供給しています。

データセンターでの1.6T/3.2T化への対応に加え、宇宙での高速光通信という高単価な市場でも技術が採用されており、ポートフォリオ内での重要性が増しています。


SiTime(SITM):シリコンタイミング(タイマーIC)の独占的ポジション

サイタイム(SITM)は、AIシステム全体の動作タイミングを正確に揃えるシリコンMEMSタイマーの絶対的リーダーです。何千枚ものGPUや高速光リンクが連携するAIデータセンターでは、従来のクォーツ(水晶)では対応しきれず、サイタイムのシリコン技術が必須となります。通信・データセンター部門の売上は前年比158%増と爆発的に伸びており、約1.5%のポジションをしっかり維持しています。


ASM International(ASMI):ALD(原子層堆積)の絶対王者

ASMインターナショナル(ASMI)は、半導体製造の超精密な成膜技術であるALD(原子層堆積)で世界をリードする企業です。半導体が3次元構造(GAAや16層HBMなど)へ進化するにつれ、原子レベルで均一な膜を付ける同社の技術は絶対に欠かせなくなっています。高い技術障壁を背景に、約2.5%の組み入れを継続しています。


BE Semiconductor(BESI):ハイブリッドボンディング装置の最優先銘柄

BEセミコンダクター(BESI)は、先進半導体パッケージング装置のトップランナーです。CPO(光電融合)や最新HBMの製造で不可欠となるハイブリッドボンディング装置で圧倒的なシェアを保持しており、半導体業界全体の構造変化の恩恵を直接受ける銘柄として約2.75%を維持しています。