【AI:IPO】コアウィーブ(CRWV:CoreWeave)とは?注目のAI企業のIPO(上場)の詳細と将来性に迫る!

- 本稿では、2025年3月28日金曜日にナスダック市場に上場した注目のAI企業「コアウィーブ(CRWV:CoreWeave)とは?」という基礎的な内容から、同社のIPO(上場)の詳細、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- コアウィーブのIPOは、評価額が想定を下回り、AIバブルの終焉を示唆する転換点となる可能性があると見ています。
- 市場の投資家の関心は、成長ストーリーよりも収益性や競争優位性に移りつつあり、AI業界全体の再調整が進んでいると考えています。
- 今後は、実用的にAIを活用する企業やインフラ銘柄、割安な優良株への注目が重要であると考えられます。
注目のAI企業コアウィーブ(CRWV:CoreWeave)がナスダック市場に上場も波乱のスタート?
コアウィーブ(CRWV:CoreWeave)は、2025年3月28日金曜日にナスダック市場に上場しましたが、この波乱含みのIPOは、AIバブルがしぼみ始めているという初めての本格的な警告かもしれません。かつては320億ドルの評価を受けた有望企業とされていましたが、需要の低迷と懐疑的な見方の高まりにより、230億ドルという価格での上場となりました。
これに加え、マイクロソフト(MSFT)の最近のレイオフ(人員削減)や、スタートアップ投資の減少、DeepSeekのような低コストのAI競合の台頭も重なり、投資家たちはAIに関するこれまでの物語を再考し始めています。しかし、バブルがはじけたところには、目の付け所さえ間違えなければ、チャンスも存在すると見ています。
そして、本稿では、以下の内容を学ぶことができます:
✅ コアウィーブのIPO失敗がAI投資の転換点となり得る理由
✅ AIバブルがすでにしぼみ始めているかもしれない5つの兆候
✅ 過剰な期待を超えて利益を得るための戦略
✅ AIブーム後の市場における新たな勝者たち
コアウィーブ(CRWV:CoreWeave)のIPOについて
コアウィーブ(CRWV:CoreWeave)は、注目度の高いIPOを通じて、AI関連企業として初めて投資家の関心を試す存在となりました。
同社は、主にAI(人工知能)向けの高性能クラウドインフラストラクチャを提供する米国のテクノロジー企業です。特に、GPU(グラフィックス処理ユニット)を活用した演算処理に特化したクラウドサービスで知られ、エヌビディア(NVDA)のGPUを用いたAI・機械学習・グラフィックス処理・レンダリングなどに強みがあります。
しかし、初期の反応を見る限り、期待外れの結果となる兆しが見えています。
(出所:Seeking Alpha)
今回のIPOでは、1株あたり40ドルで価格が設定され、企業評価額は230億ドルとなりました。これは、数週間前に銀行関係者が掲げていた320億ドルという評価額よりも大幅に低くなっています。このことは、投資家の間でAIブームへの熱狂が冷めつつあることを示唆しています。実際、エヌビディア(NVDA)やオラクル(ORCL)といったテック株も年初来で下落しています。
このような冷淡な反応の背景には、懐疑的な見方の広がりがあります。多くの投資家は、コアウィーブがマイクロソフトやエヌビディアといった主要パートナーに依存している点や、キャッシュの消費が激しい点、そして創業者たちがすでにかなりの株式を売却している点に対して不安を抱いています。
一部の強気な投資家は、これらの課題を一時的な成長痛と捉えており、独自の技術革新の波に乗って規模を拡大するためには避けられない代償であると考えています。しかし、全体的な市場のセンチメントは明らかに変化しています。
最近実施された135人の投資家を対象とした非公開の調査では、深刻な懸念が浮き彫りになりました。90%の回答者が「コアウィーブには持続可能な競争優位性(モート)が欠けている」と答えたのです。ある参加者は、同社を「放射性物質のように危険だ」とまで辛辣に表現しました。
最終的に、このIPOを「AIブームに割安で乗れるチャンス」と前向きにとらえる投資家もいる一方で、多くの投資家は慎重な姿勢を崩していません。コアウィーブの株式公開は、AIという物語に対する市場の疲弊感、そして現在の市場が「将来性や期待」ではなく「収益性と防御力」を重視し始めていることを如実に表しているのかもしれません。
コアウィーブ(CRWV:CoreWeave)を取り巻くAIバブルは崩壊したのか?
最近の動向を見ると、人工知能(AI)業界は大きな混乱に直面しており、AIバブルがしぼみつつある可能性を示唆しています。主な兆候は以下のとおりです:
1. 大手テック企業の人員削減と戦略的転換
AI分野のリーダーであるマイクロソフトは、クラウドソリューションアーキテクトや顧客対応部門などの職種において人員削減を実施しました。これらの削減は、ビジネスの変化に対応するための、より広範な組織再編の一環とされています。
2. AIスタートアップへの資金調達の減少
AI分野への投資は2024年に62%増加し、1,100億ドルに達しましたが、スタートアップ全体の資金調達は12%減少しました。これは、資金が一部の有望なAIベンチャーに集中しており、業界の再編が進んでいることを示しています。
世界のAIへのベンチャーキャピタル投資
(出所:Dealroom.co)
3. AI関連IPOに対する投資家の懐疑的な見方
AIインフラ企業であるコアウィーブの最近の新規株式公開(IPO)は、予想を下回る需要により規模が縮小されました。同社は株式を1株40ドルで価格設定しましたが、これは想定されていた価格帯を下回っており、投資家の慎重な姿勢を反映しています。
4. コスト効率の高いAIモデルの登場
中国で開発されたAIモデル「DeepSeek」は、600万ドル未満という低コストで構築されたものであり、「効果的なAIには多額の投資が必要である」という従来の認識に挑戦しています。この進展は市場に大きな反応を引き起こし、エヌビディアなどのテック株が大きく下落する要因となりました。
5. テック業界における文化の変化
テック企業では、豊富な福利厚生を重視する文化から、パフォーマンスと効率性を重視する方向へとシフトが進んでいます。メタ・プラットフォームズ(META)、アマゾン(AMZN)、アルファベット(GOOG)、マイクロソフトなどの企業は、大規模な人員削減を実施するとともに、従業員に対するパフォーマンスの期待を高めており、成長よりも収益性を重視する姿勢を明確にしています。
これらの動向は総じて、AI業界における再調整が進んでいることを示しており、持続可能な成長と具体的なリターンへの関心が高まっていることがうかがえます。
AIバブル崩壊に対する私の戦略とは?
仮に、AIバブルが本当に崩壊したとするならば(これは非常に大きな仮定ですが)、投資家が利益を得るための重要な方法がいくつか存在すると考えています。
もしAIバブルが実際にしぼみ始めているのであれば、戦略を見直し、過度な期待を避け、ファンダメンタルズに基づいて行動することで、投資家は依然として利益を得るチャンスがあると見ています。以下は私が現在検討しているポジショニングの方法です。
1️⃣ 「つるはしとスコップ」銘柄に資金をローテーション
たとえAI関連株が下落したとしても、実需があり価格決定力を持つインフラ関連の銘柄は、より安定したパフォーマンスを示す可能性があると見ています。代表的な例は以下のとおりです:
✅ 半導体ファウンドリ(例:TSMC:TSM)
✅ ネットワーク機器(例:アリスタ・ネットワークス:ANET)
✅ データセンターREIT(例:エクイニクス:EQIX)
✅ 電力および冷却システム提供企業(例:バーティブ・ホールディングス:VRT)
これらの企業は、ソフトウェアやAIに関する市場の物語の変化から比較的影響を受けにくいと考えられます。
2️⃣ 割安になった優良銘柄に注目
マイクロソフトやエヌビディアのような確立されたテック企業は、市場のセンチメントにより一時的に株価が下落することがあります。そうしたタイミングは、長期的に複利で成長を続ける銘柄を、より良いバリュエーションで購入できるチャンスとなると見ています。
直近、私が特に注目している「マグニフィセント・セブン(Mag 7)」銘柄についてお話ししました。
大型ハイテク株のバリュエーションは、S&P500全体に対するプレミアムが2017年以来で最も低い水準に
(出所:FactSet, Goldman Sachs Global Investment Research)
3️⃣ AIを「構築する企業」ではなく「活用する企業」に注目
単にAIモデルを構築している企業ではなく、AIを活用して実際に効率性や収益の向上といった明確な成果を上げている企業に注目することも一つの選択肢であると見ており、以下のような企業が該当します:
✅ サービスナウ(NOW:業務フローの自動化)
✅ アドビ(ADBE:クリエイティブツールへのAI統合)
✅ パランティア・テクノロジーズ(PLTR:政府・企業向けのAI導入)
4️⃣ バリュー株や景気循環株へのリバランス
もしAIブームが過去のテックバブルと同様に崩壊するようであれば、資金はエネルギー、工業、金融といったバリューセクターへと流れる可能性があります。これらのセクターは、金利の上昇やインフレ耐性のあるファンダメンタルズによって恩恵を受けることがあります。
これは数週間前にもお伝えした内容です。
スタグフレーション期(1974〜1982年):米国ポートフォリオの株価/キャッシュフロー倍率別リターン
(出所:BWM AG)
そして、仮に、今後スタグフレーションのような環境が訪れるとすれば、小型のバリュー株が有力な選択肢となるかもしれません。
コアウィーブ(CRWV:CoreWeave)のIPOに関する結論
コアウィーブ(CRWV:CoreWeave)のIPOは、AI投資サイクルにおける転換点となる可能性があると見ています。これまで物語性に頼っていた投資が、数字によって精査される段階へと移行し、過熱した期待が厳しい現実によって試される局面に入ったことを示しています。 もちろん、これでAIの物語が終わったというわけではありませんが、投資家の姿勢が変わりつつあることは確かです。彼らは、実質的な競争優位性(モート)、収益性、そして持続可能な成長を求めているのです。
賢明な投資家にとって、今の環境はポジションを再構築するチャンスとも言えます。耐久性のあるインフラ、割安な優良銘柄、そして実用的なAI活用に焦点を当てることが求められています。 これが一時的なリセットなのか、それともバブルの終焉なのかはまだ分かりませんが、ひとつ確かなのは、市場は「実現の伴わない夢」だけでは、もはや納得しないということです。
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