微細化せずにクロックが上がる——ファーウェイが2枚のチップを1つとして設計する方法(Part 2)

■接合の間隔が配線の間隔に近づくほど、2枚は1つのチップとして振る舞う
ファーウェイのロジック折り畳みは2枚のチップを面と面で重ねます。両者をつなぐ接合の間隔が、それぞれのチップ上の配線の間隔に近づくほど、2枚は「会話し合う2つ」ではなく「1つ」として動きます。現行は3:1、ロードマップは1:1で、Kirin 9050 Proは1.5µmで出荷されました。
■そこから得られる本当の利得は、密度ではなく速度
チップのクロックは最も長い信号経路で頭打ちになります。折り畳みは、その経路を平面全体の横断ではなく、もう1枚のチップへの落下に置き換えます。
■ロードマップはまさにその形をしている
折り畳みが入った年に密度が一度だけ跳ね、その後はほぼ横ばいで推移する一方、動作周波数は同じ露光技術のうえで2026年の3.1GHzから2030年の4.3GHzまで上がり続けます。
■2枚重ねの歩留まり問題を、設計が自らを直すことで解いた
通常なら両方のウェハの欠陥と接合部の欠陥が掛け合わさって損失が膨らみます。ファーウェイは予備の接合と製造後に調整できるクロックのタイミングによって、欠陥の出やすいSMICのプロセスのうえで、ほぼ100%の実効歩留まりを成立させています。
■次の段階を塞いでいるのは製造ではなく、まだ存在しない設計ソフトウェア
1つのコアを2枚のチップに分割する段階では、配置配線ツールそのものが作り直されなければなりません。ファーウェイは、それを必要とする理由と、チェーン全体を社内で統制できる立場の両方を持つ唯一の企業です。
※本記事は「制裁でかえって強くなったファーウェイ——TSMCより6倍細かい接合を、すでに量産している(Part 1)」の続編となります。ハイブリッドボンディングとピッチという物差しを先にお読みいただくと、本稿の内容がより明確になります。
2枚のダイを、面と面で向かい合わせに接合する。トランジスタは外側の上下に、配線はすべて内側に。その真ん中に、ハイブリッドボンドの継ぎ目が挟まります。継ぎ目が、そこでつなぐ配線と同じくらい細かくなったとき、積み重ねられた2枚は1つのチップのように配線されます。
Part 1では、ファーウェイが何を作り上げたのかを技術の系譜のなかに置きました。本稿ではその中身に入ります。ギア比という物差しが何を測っているのか、なぜ狙いが密度ではなく時間なのか、そして欠陥の出やすいプロセスの上で、どうやってほぼ100%の実効歩留まりを成立させているのかです。
ギア比——接合の細かさが、配線の細かさに追いつくとき
ファーウェイはギア比を、ハイブリッドボンドのピッチを最上層メタルのピッチで割った値と定義しています。
ボンドピッチとは、接合面に並ぶハッチ(上の階へ上がる昇降口)どうしの横方向の間隔です。最上層メタルとは、それぞれのダイの屋根にあたる太い配線のこと。最上層メタルのピッチは、その屋根の配線がどれだけの間隔で走っているかを指します。
面と面を合わせた積層では、2つの屋根が向かい合います。屋根のうえを走る信号は、上の階へ上がる前に、まずハッチまでたどり着かなければなりません。ハッチがまばらであれば、その経路は鉤の手になります。横に走り、それから上に折れる。これがチップ間の通信です。
ハッチの間隔が屋根の配線の間隔に近づけば、ハッチはすでに配線の真下にあります。経路は一方向、まっすぐ上へ。直角の迂回はありません。そうなるとZ方向の配線は、2つのチップのあいだの会話ではなく、1つのチップの内側を配線しているのと変わらない感触になります。
これが第一の原理です。Z方向をX-Y方向と同じように扱うには、ボンドピッチが、そこでつなぐ配線のピッチに近づいていなければなりません。ギア比というのは言い得た名前で、屋根とハッチという絵と同じことを指しています。
ファーウェイの経験則では、3:1を下回れば回り道の代償は許容範囲に収まります。ロードマップはその回り道を消し
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