10/30/2026
やや強気
シャープリンク・ゲーミング
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保有するイーサリアムの価値を下回る株価と、週足の底打ちを評価

第4四半期の3つの潮流と取引アイデア3件:AI以外への資金移動、暗号資産、電力のボトルネック

Main Imageジェームズ・ フォードジェームズ・ フォード
記事要約

    ■7〜9月期の20件は平均15.1%上昇
    取り上げた20件は平均15.1%上昇し、S&P500の1.7%を上回りました。AI株の急落局面に資金を振り向けたことが成績につながりました。

    ■資金移動は資本財など出遅れ分野へ
    等ウェイトS&P500は年初来12.2%と、S&P500の15.1%を下回っていました。著者は第4四半期に、AI以外の分野へ資金が移ると見ていました。

    ■暗号資産と電力が第4四半期の軸
    ビットコインは週足で50週線を45週ぶりに上回りました。2026年稼働予定の大規模データセンター容量は、30〜50%が遅れる可能性があります。

    ■取引アイデアはSBET・GEV・DIA
    イーサリアム保有企業のSBET、ガスタービンのGEV、ダウ平均ETFのDIAについて、仕掛けの水準と、シナリオが崩れる水準を示しています。

この記事は約 12 分で読むことができます。(記事文字数:約 6,100 文字)

第3四半期は、私にとって好成績の四半期でした。

7〜9月に取り上げた20件の取引アイデアは、平均15.1%上昇しました。同じ期間のS&P500は1.7%の上昇にとどまりました。全20件の結果は、別の記事にまとめています。

以下では、この成績を出せた理由、第4四半期の相場を動かすと私が見ている3つの潮流、そして今回取り上げる3銘柄を順に説明します。


第3四半期はなぜ勝てたのか


AI株の下落局面に資金を振り向けた

答えを短く言えば、多くの投資家がAIから逃げていたときに、私は下落局面に資金を振り向けたからです。

期初、ポートフォリオの4分の1近くは現金でした。これは意図的な選択です。6月には、AI株の評価は上がり過ぎ、速過ぎると見ており、混み合った取引を追いかけるより、より良い水準を待つほうがよいと考えていました。

その水準は7月に訪れました。AI関連の取引が崩れたのです。

韓国株ETF(EWY)の日足:7〜8月の急落時に200日EMAで下げ止まった

(出典: TrendSpider)

ネビウス(NBIS)は1営業日で15%下落し、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)は20%値を下げて50日移動平均線を割り込みました。韓国では強制的な売りがKOSPIを22%超押し下げ、SKハイニックス(SKHY)も道連れになりました。

一方で、投資家心理を示す指標が悪化するなか、実物の計算資源の市場は、まったく違う話を伝えていました。GPUのレンタル料は維持され、最も強く売られていた企業も増益を報告し続けていたのです。SKハイニックスは、KOSPIの急落のさなかに過去最高の四半期決算を発表し、HBM4の量産も始めました。

株価は、その裏にある事業よりはるかに速く下落していました。その乖離こそ私が探しているものです。だから、私は動きました。


銘柄選びの4つの確認項目

すべてのアイデアは、公開する前に、次の4つの確認を通過する必要がありました。

  • テクニカル: 主要な移動平均線での下支え、MACDの交差、自社アルゴリズム「MBA」の上昇転換シグナルなど、明確な水準があること。値を追いかけないこと。
  • ファンダメンタルズ: 株価より速く、事業が改善していること。
  • マクロ: AI投資の主役がチップからメモリ、電力、AIクラウドへ移っていることのように、名前を挙げられる構造的な潮流があること。
  • リサーチ: 詳細な記事を付け、読者がなぜその銘柄を持つのか、何が起きれば誤りだと分かるのかを理解できること。

7月の売りが最も強かった局面に公開した10件は、同じ期間のS&P500の3.2%に対し、平均23.4%上昇しました。では、これからはどうでしょうか。


第4四半期に注目する3つの潮流

第3四半期は、AI株を値下がり局面で手に入れた四半期でした。第4四半期は、AI関連の取引が取り残した分野へ、機会が移ると私は見ています。同時に、次のAIのボトルネックにも目を配ります。

以下が、最も注視している3つの潮流です。


1. AIから、資本財と取り残された分野への資金移動

第3四半期の利益の大半をAI株の下落局面で得たのですから、矛盾して聞こえるかもしれません。しかし私は、第4四半期は資金がAIから、取り残された分野へ向かい始める時期だと考えています。

初期の兆候は、すでに等ウェイトのS&P500に表れています。8月下旬には、等ウェイト指数は年初来で16%近く上昇し、通常の時価総額加重のS&P500を3.5ポイント超上回っていました。

そこへ、AI株が勢いよく戻ってきました。S&P500は年初来で15.1%上昇していたのに対し、等ウェイト版は12.2%まで後退していました。約6週間で、両者の差は6ポイント超、大型株に有利な方向へ振れました。

インベスコS&P500等ウェイトETF(RSP)のS&P500連動ETF(SPY)に対する相対パフォーマンス:AI大型株からの資金移動は足踏み

(出典: ChartRow、StockAnalysis)

その結果、市場は極端に上位へ集中しています。上位10社でS&P500の38%近くを占め、時価総額加重の指数ではテクノロジーが約38%を占めます。等ウェイト指数では、この比率は約17%です。言い換えれば、今日のS&P500を持つことは、大部分がAIへの賭けです。

AIがここまで上昇した後は、第4四半期にリスクに見合うリターンが見込めるのは、指数のそれ以外の部分だと私は考えています。まず注目するのは資本財です。タービン、変圧器、電気設備、建設を通じてAI投資の恩恵を受けながら、AI株のような評価は付いていません。多くは数年分の契約済み受注残を抱えており、市場の大半にはない、利益の見通しの良さがあります。

そのほか、AIが資金を吸い上げる間に出遅れてきた、ヘルスケアから金融までの分野にも目を向けます。インベスコS&P500等ウェイトETF(RSP)は、この資金移動を1つのティッカーで保有できる、最も簡単な手段です。

これはAIを手放すという意味ではありません。すでに上昇した銘柄ではなく、取り残された銘柄に配分を増やすということです。


【補足】時価総額加重と等ウェイトの違い

時価総額加重の指数は、時価総額の大きい企業ほど、指数への影響が大きくなります。等ウェイトの指数は、500社をほぼ同じ比率で組み入れるため、大型株の影響が小さくなります。少数の巨大企業が相場を引っ張る局面では前者が、幅広い銘柄が上昇する局面では後者が、相対的に強くなりやすい仕組みです。


2. 暗号資産の上昇が続く

暗号資産に関連するアイデアは、第3四半期の成績上位に並びました。サークル(CRCL)は最初の取引アイデアから48.1%、ロビンフッド・マーケッツ(HOOD)は31.2%、ビットコインの採掘事業からAIクラウドへ転じたアイレン(IREN)は15.9%のリターンでした。私は、この動きにはまだ先があると考えています。

ビットコイン先物(CME)の週足:2026年6月の安値から切り上がる動き

(出典: TrendSpider)

ビットコインは9月下旬、週足の終値が50週移動平均線を上回る状態が45週ぶりとなり、ショートスクイーズによって約6億4,800万ドルの弱気の賭けが解消されるなか、85,000ドルを突破しました。

ワシントンの動きも追い風ですが、市場が期待した形ではありません。CLARITY法は上院で停滞しましたが、SECは、トークン化株式をオンチェーンで取引できるようにする条件付きの適用除外を認めました。規制当局がステーブルコインとトークン化を後押しする方向は明らかで、それはまさに、サークルとロビンフッドの背景にあるテーマです。

私の見方では、6月の約60,000ドルの安値が、ビットコインの価格面の底でした。そして今は、時間面の底にあります。


【補足】ショートスクイーズとは

ショートスクイーズは、価格が上がったときに、値下がりに賭けていた投資家が損失を抑えるために買い戻し、その買いがさらに価格を押し上げる動きです。


3. AIの電力ボトルネックが無視できなくなる

AIの最大の問題は需要ではなく供給であり、最も厳しい制約は電力です。

すでにその兆候が出ています。オラクルは先ごろ、2.45GWのAI拠点「Project Jupiter」について不可抗力通知を出しました。燃料電池によるマイクログリッドが、州の大気関連の許可をまだ待っているためです。

Jupiterは例外ではありません。エネルギー分野の調査会社Currenceは、2026年に稼働予定の大規模データセンター容量の30〜50%が遅れる可能性があり、今年予定の16GWのうち、建設に入っているのは約5GWにとどまると推計しています。主要なガスタービン供給企業の一つであるGEベルノバ(GEV)は、すでに2031年納入分の予約を受け付けており、受注残は116GWに達しています。

2026年に稼働予定の大規模データセンター容量16GWのうち、建設中は約5GW

(出典: Currenceの推計、Network World)

大手クラウド事業者(ハイパースケーラー)がこれから第3四半期の決算を発表し、2027年の予算を固めていく数週間で、市場の主な論点はチップではなく電力になると私は予想しています。

恩恵を受けやすいのは、すでに稼働している発電設備を持つ企業か、それを建設するための設備を持つ企業です。ビストラ・コープ(VST)やコンステレーション・エネルギー(CEG)のような発電事業者、GEベルノバのような設備メーカー、ブルーム・エナジー(BE)のようなオンサイト電源の提供企業が当てはまります。ブルーム・エナジーは、第3四半期の最良の取引アイデアの一つでした。


テクニカル分析で見る、第4四半期の最初の取引アイデア3件

ここまでで、第4四半期を左右しうる大きな潮流をひと通り確認しました。これらについては、10月12日の週に改めて詳しく取り上げます。ここでは、テクニカル分析を使った3つの具体的なアイデアを示します。いずれも、第4四半期の最初の公式な取引アイデアです。早速見ていきましょう。


以下の説明で使う指標


【補足】EMA・MACD・RSIとは

EMAは、直近の値動きを重く見る移動平均線(指数平滑移動平均)で、20日・50日・200日などの期間で使われます。MACDは、2本の移動平均線の差から勢いの変化を見る指標で、シグナル線との交差が転換の目安とされます。RSIは、上昇と下落の勢いを0〜100で表す指標で、一般に30前後は売られ過ぎ、70前後は買われ過ぎの目安とされます。


SBET:イーサリアムのディスカウントに着目

シャープリンク(SBET)の週足:7月の安値から安値を切り上げ、20週・50週EMAを回復

(出典: TrendSpider)

シャープリンク・ゲーミング(SBET)は、イーサリアムを保有する上場企業として最大級の一社です。約869,000ETH(約22.4億ドル相当)を保有し、ステーキングによって、価格の上昇とは別に利回りも得ています。

今注目する理由は、価格です。時価総額は約20億ドルで、保有するETHの価値の約0.89倍、つまり11%のディスカウントで取引されています。私はこれを、イーサリアムを時価より低い価格で手にし、ステーキング事業が付いてくる状態だと捉えています。

このディスカウントは、機会であると同時にリスクでもあります。トレジャリー企業は、投資家が疑いを持つと、保有資産の価値を下回って取引されます。シャープリンクは、ETHを買うための資金調達で株式数が急増しました。投資家心理が悪いままなら、ディスカウントは続くかもしれません。しかし、私が予想するようにトークン化の流れでイーサリアムが恩恵を受ければ、ディスカウントが縮まり、上昇の源が2つになります。

テクニカルでは、週足が転換しつつあります。2025年の急騰と長い下落の後、SBETは7月に4.50ドル近辺で底を付け、以降は安値を切り上げています。株価は20週EMAと50週EMAをすでに取り戻し、20週EMAは強気の交差(短期線が長期線を上抜ける動き)に向けて上向いています。週足のMACDはシグナル線を上抜けて0も上回り、RSIは58と健全な水準です。

最初の上値抵抗は、出来高の厚い価格帯が始まる11ドル付近で、その先が16〜18ドルです。下値では、押した場合に50週EMA(約8.60ドル)を維持できるかを見ており、20週EMA(約7.80ドル)を最後の防衛線としています。


【補足】トレジャリー企業とディスカウント

トレジャリー企業は、暗号資産を会社の資産として大量に保有する上場企業です。株価が保有資産の価値を下回る状態をディスカウント、上回る状態をプレミアムと呼びます。


GEV:電力のボトルネックを抱える側

GEベルノバ(GEV)の日足:約5カ月のもみ合いの中で、8月の押しが200日EMAで下げ止まった

(出典: TrendSpider)

電力のボトルネックを保有する最も明快な手段が、GEベルノバです。新しいデータセンターの稼働に必要なガスタービン、送配電設備、風力タービンを製造しており、需要は供給をはるかに上回る勢いで進んでいます。

第2四半期の数字は際立っていました。受注は有機的に88%増の242億ドル、受注残の合計は1,760億ドルに達しました。ガスタービンの受注残と予約枠は116GWで、経営陣は年末までに少なくとも125GWになると見込んでいます。

その需要は、現金に変わりつつあります。GEベルノバは、2026年のフリーキャッシュフローの見通しを、従来の65〜75億ドルから115〜125億ドルに引き上げました。

利益に対する倍率は、予想ベースで約48倍と低くありません。ただ、時価総額約2,660億ドルは、今年のフリーキャッシュフロー見通しの約22倍です。すでに2031年納入分の予約を受けている企業として、これは妥当な水準だと私は考えています。

日足では、GEVは年初に大きく上昇した後、この5カ月ほど、おおよそ900〜1,170ドルのもみ合いが続いています。8月の押しはちょうど200日EMAで下げ止まり、その後は20日EMAと50日EMAを取り戻しました。MACDは強気の交差となってヒストグラムが大きくなり、RSIは50台半ばで、上昇余地は十分にあります。

今週(10月5日の週)の1,050ドルに向けた上昇は、押し戻されました。私は、50日EMAがある960〜985ドル付近までの押しを、仕掛けの水準と見ています。1,075ドルを上抜ければ高値圏への道が開け、200日EMA(約920ドル)を終値で下回れば、このシナリオは崩れます。


DIA:ハイテク以外への資金移動に備える守りの一手

SPDRダウ工業株平均ETF(DIA)の日足:8月上旬の天井から約6%下落し、200日EMAに接近

(出典: TrendSpider)

最後のアイデアは、第4四半期に私が想定する資金移動に乗る手段である、SPDRダウ工業株平均ETF(DIA)です。

S&P500と違い、ダウは株価で加重する指数で、構成がまったく異なります。上位2銘柄はゴールドマン・サックスとキャタピラーで、それぞれ約10%を占めます。続くのが、マイクロソフト、アムジェン、ユナイテッドヘルス、ビザ、トラベラーズです。

したがってDIAを持つことは、金融、資本財、ヘルスケアへの賭けであり、AIへの組み入れはS&P500よりはるかに少なくなります。キャタピラーは、発電機やタービンがデータセンターの電力に使われる場面が増えているため、電力のボトルネックへの入り口にもなります。

水準も妥当で、利益の約21倍、配当利回りは1.4%、年間の運用コスト(経費率)は0.16%です。

私はこれを、守りの一手と呼んできました。チャートを見ると、タイミングが合っている理由が分かります。DIAは8月上旬に540ドル近辺で天井を付け、以降は約6%下落しました。9月中旬には20日EMAと50日EMAを割り込み、現在は、最初の大きな下値支持である200日EMA(約504ドル)の少し上にあります。

勢いは、売られ過ぎに近づいています。RSIは30台後半で、大型株の指数としては売られ過ぎの水準に近く、MACDのヒストグラムは縮小しています。これは、強気の交差が近いことを示唆します。

私は、200日EMAに近い505〜510ドルを、仕掛けの水準と見ています。最初の目標は、20日EMAと50日EMAがある518〜524ドル付近で、その次が540ドルの高値の再テストです。出来高の厚い価格帯である490ドル付近を終値で下回れば、資金移動はまだ始まっていないと判断します。

関連銘柄月間チャート