ナスダック100の上抜け失敗は本物か:9つのチャートで見る主要市場の支持線と、見方が変わる水準

■ナスダック100で上抜けが失敗
10月上旬に約31,400まで上昇した後、10月16日に29,188へ反落しました。20日・50日EMAを割り込み、強気派が守るべき水準は28,030にある200日EMAです。
■S&P500の週足トレンドは維持
終値7,659は20週EMAの7,575を上回りますが、MACDには弱気の乖離があります。週足の終値が7,575を割ると、50週EMAの7,220が視野に入ります。
■小型株とモメンタムが弱い
IWMは200日EMAを割って反発も失敗し、MTUMは約9%下落しました。一方、等ウェイトのRSPは約214まで戻し、20日・50日EMAを回復して裾野は改善しています。
■原油とビットコインが際立つ
USOは9月の高値に並び、3本の移動平均線が上向きです。ビットコイン先物は旗型を形成し、金は360〜400のレンジで、400を取り戻すまで方向感に欠けます。
10月12日の週、ナスダック100は強気派が最も嫌う動きを見せました。新高値へ上抜けたあと、すぐにその上昇分をすべて吐き出したのです。
上抜けの失敗は、テクニカル分析で最も信頼できる警戒サインの一つです。 抵抗線の上で買った投資家が捕まり、下落の過程で売り手に変わるためです。モメンタム株と小型株は、すでにナスダックを追って下落しています。
ただ、視野を広げると、印象はそれほど劇的ではありません。S&P500は最高値をまだ数%下回る程度にとどまり、主要な長期上昇トレンドはすべて維持されています。等ウェイトの銘柄は、静かに持ち直しています。一方で、原油は高値に迫り、ビットコインは旗型(ブルフラッグ)を形成し、金は急騰後の調整を続けています。
以下では、9つのチャートが示していること、重要な支持線の位置、そして私の見方が変わる水準を順に説明します。
チャートを読む前に:用語の補足
移動平均線・MACD・RSI
【補足】EMA・MACD・RSIとは
EMAは、直近の値動きを重く見る移動平均線(指数平滑移動平均)で、20日・50日・200日などの期間で使われます。MACDは、2本の移動平均線の差から勢いの変化を見る指標で、シグナル線との交差が転換の目安とされます。RSIは、上昇と下落の勢いを0〜100で表す指標で、一般に30前後は売られ過ぎ、70前後は買われ過ぎの目安とされます。
出来高の多い価格帯
【補足】バリューエリアとポイント・オブ・コントロールとは
価格帯ごとの取引量を横向きの棒で表したものが、出来高の分布です。取引が集中した価格帯の範囲をバリューエリア、その中で最も取引が多かった一点をポイント・オブ・コントロールと呼びます。価格が戻ってきたとき、これらの水準は支持線や抵抗線として意識されやすいとされます。
S&P500(週足):トレンドは維持、勢いは低下

(出典: TrendSpider)
S&P500は10月12日の週に2%近く下落して7,659となりましたが、週足の構造は依然として明確に強気です。 価格は、4月の安値からの上昇を通じて動的な支持線として働いてきた20週EMA(7,575)の上にあり、50週EMA(7,219)と200週EMA(5,962)も大きく上回っています。
警戒すべき点は勢いです。週足のMACDはシグナル線を下回り、価格が新高値を付ける一方で、MACD自体は高値を切り下げています。穏やかな弱気の乖離(ダイバージェンス)で、崩落ではなく値固めを示唆します。
主要な水準
20週EMA付近の7,575が、最初の防衛線です。週足の終値がこれを下回れば、50週EMA付近の7,220に向かう動きが開き、以前の上抜けの水準にあたる約6,900〜7,000が大きな支持線になります。これらが維持される限り、下落は調整の範囲にとどまると私は見ています。
ナスダック100(日足):失敗した上抜け

(出典: TrendSpider)
このチャートが、最も重要です。9月に下降チャネルを上抜けたナスダック100は、10月上旬に6月の高値を超えて、約31,400まで上昇しました。
その上抜けは失敗しました。価格はレンジの中へ押し戻され、20日EMA(30,260)と50日EMA(29,919)を割り込み、10月16日の取引で2%下落して29,188で引けました。RSIは35まで低下し、MACDは急角度で下向きに交差しています。
上抜けの失敗は、レンジの反対側を試す動きにつながることが多く、私は下値リスクを軽視していません。
主要な水準
好材料は、支持線が近いことです。フィボナッチの0.236水準である29,003がいま試されており、そのすぐ下に200日EMAの28,030があります。強気派が守るべき水準は、この200日EMAです。 これを割り込むと、8月の安値27,176が視野に入ります。
【補足】上抜けの失敗とは
上抜けの失敗は、価格が直近の高値(抵抗線)を一度超えたあと、すぐに元のレンジへ戻ってしまう動きです。抵抗線の上で買った投資家が含み損を抱え、下落の局面で売り手に変わりやすいため、警戒のサインとされます。
等ウェイトS&P500(RSP、日足):裾野の広がりは改善

(出典: TrendSpider)
大型テクノロジー株がつまずく一方で、平均的な銘柄は静かに強くなっています。インベスコS&P500等ウェイトETF(RSP)は8月下旬の高値から約7%下落しましたが、下落は妥当な位置、つまり208付近のバリューエリアの上端で止まりました。そのすぐ下には、上昇を続ける200日EMAがあります。
その後、RSPは約214まで戻し、20日EMAと50日EMAをともに取り戻しました。MACDはシグナル線を再び上抜けてヒストグラムが拡大し、RSIは50を回復しています。ナスダック100との乖離は建設的です。 資金は市場から離れるのではなく、市場の内側で移っていることを示唆します。
主要な水準
支持線は208で、その下が206付近の200日EMAです。220〜222の高値を超えれば、より裾野の広い上昇局面が確認されます。
ラッセル2000(IWM、日足):支持線が崩れた

(出典: TrendSpider)
小型株は、今回の局面で最も弱い部分です。 iシェアーズ・ラッセル2000 ETF(IWM)は8月に305近辺で天井を付け、9月に上昇トレンドラインを割り込み、276付近の200日EMAも割り込みました。10月上旬にこの移動平均線から反発した際には上昇転換のシグナルが点灯しましたが、数日で失敗し、これで強気の形が崩れたのは2度目です。
価格は270で、高値から約11%下落しています。RSIは30台半ば、MACDは引き続きマイナスです。
主要な水準
出来高の厚い価格帯である257〜261が、最初の意味のある支持線です。その次が、過去1年で最も多く取引された249付近のポイント・オブ・コントロールです。
強気派がこの崩れを打ち消すには、276をすばやく取り戻す必要があります。それまでは、小型株は相対的な強さで劣る銘柄群にとどまります。
モメンタム(MTUM、日足):混み合った取引の巻き戻し

(出典: TrendSpider)
MSCI USAモメンタムファクターETF(MTUM)も、ナスダックと似た動きです。10月上旬に319付近のポイント・オブ・コントロールを上回ろうとして失敗し、数セッションで約9%下落して293になりました。RSIは30近くまで低下し、MACDは急角度でマイナスに転じています。
モメンタム戦略そのものが機能しなくなるときは、市場で最も混み合ったポジションの圧縮を示すことが多いものです。
ただし、MTUMは上昇中の200日EMA(291付近)の上にちょうど落ちてきました。これは、8月の下落を支えたのと同じ移動平均線です。短期的には、売りも行き過ぎています。
主要な水準
200日EMAの291、その次が8月の安値付近の283、そして以前の保ち合い圏の手前にある最後の水準が279.50です。ここで持ちこたえれば、長期の上昇トレンドは保たれます。
公益事業(XLU、日足):ディフェンシブ株への資金流入が戻る

(出典: TrendSpider)
公益事業は、10月上旬の約39から42.21まで、V字型の鋭い反発をしました。公益事業セレクト・セクターSPDRファンド(XLU)は20日EMAと50日EMAを取り戻し、MACDは明確に上へ交差し、RSIは60近くまで戻っています。
メッセージは複雑です。テクノロジーが売られるなかでディフェンシブ株に資金が向かうのは、リスク回避の典型的なサインで、モメンタム株と小型株の弱さとも整合します。
しかしテクニカル面では、XLUは重い上値の売り圧力にぶつかっています。バリューエリアの下端である42.5、ポイント・オブ・コントロールの43付近、下向きの200日EMA(43.2付近)が、密度の高い抵抗帯を作っています。43.5を明確に上回って引ければ、本物のトレンド転換です。 そこで押し戻されれば、下降トレンドのなかの戻り相場(一時的な反発)だったことを示唆します。支持線は、41.8付近の50日EMAです。
金(GLD、週足):急騰後の調整が続く

(出典: TrendSpider)
金は2025年から2026年初めにかけて目覚ましく上昇し、2月に480近辺で天井を付けました。SPDRゴールド・シェア(GLD)はその後の8カ月、行き過ぎを解消する動きを続けています。価格382は、20週EMA(396)と50週EMA(390)の両方を下回り、これらは下向きに転じて戻りを抑えています。
夏の終わりに約425まで反発しましたが失敗し、週足RSIは43で、勢いはまだ売られ過ぎの水準までリセットされていません。
構造は、おおよそ360〜400の広いレンジです。週足の終値が360の安値を割り込めば、約20%下の300〜305のゾーンまでの深い調整への道が開きます。そこは、2025年の保ち合い圏と、上昇中の200週EMA(302)が重なる水準です。
これは私のメインシナリオではありませんが、重要な水準です。 400を取り戻すまでは、金はトレンド相場ではなくレンジ相場だと見ています。
原油(USO、日足):際立つ強さ

(出典: TrendSpider)
このなかで明確な主役が、原油です。USオイルファンド(USO)は10月16日の取引で3%上昇して約163となり、20日EMAと50日EMAで下げ止まった整然とした押しのあと、9月の高値にちょうど戻りました。3本の移動平均線はすべて強気の並びで上向きになっており、200日EMA(122)ははるか下にあります。
勢いも、この動きを裏付けています。MACDはシグナル線を再び上抜け、RSIの67は、過熱していない強さです。特に、今回の上昇には、5月の天井の前に出ていた弱気のRSI乖離が見られません。
主要な水準
9月の高値を終値で上回れば、その高値から引いた上昇トレンドラインが示す170〜173のゾーンが視野に入ります。押した場合は、150付近の20日EMAが最初の支持線で、その下に144付近のバリューエリアの上端があります。USOが144を上回って推移する限り、トレンドは明確に上向きです。
ビットコイン(日足):形成途中の旗型
ビットコインは、このなかで最も強いチャートの一つです。 先物は6月の安値57,500近辺から約50%上昇し、8月に200日EMAを取り戻して、9月には約87,000まで進みました。その後、50日EMAが200日EMAを上抜けるゴールデンクロスとなり、トレンド転換を裏付けています。
それ以降の押しは、教科書どおりの旗型(ブルフラッグ)に見えます。狭い下降チャネルのなかを整然と下がり、RSIは崩れずに52まで冷えています。価格82,240は、フィボナッチの0.236水準81,545を維持し、20日EMAの上にあります。
主要な水準
旗型を上抜け、87,300の高値を終値で超えれば、フィボナッチの0.382水準である97,900付近が視野に入ります。下値では、77,600〜78,900にある50日EMAと200日EMA、そして76,000付近の出来高の厚い価格帯が、大きな支持線です。
【補足】ブルフラッグとゴールデンクロスとは
ブルフラッグ(強気の旗型)は、急上昇のあとに、価格が狭い下向きのチャネルのなかで小幅に下がる形です。急上昇のあとの一服と見られ、上に抜けると上昇が再開しやすいとされます。ゴールデンクロスは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上へ抜ける動きで、トレンド転換のサインとして使われます。
まとめ
ナスダックの上抜け失敗は本物の警告であり、小型株とモメンタム株の弱さは、リスク選好が冷えたことを裏付けています。
しかし、S&P500の週足トレンドは維持され、裾野の広がりは改善し、ナスダック100とMTUMの重要な支持線は、まさにいま試されています。
これらが10月19日の週にどう持ちこたえるかが焦点でした。今回が健全なリセットなのか、もっと大きな動きの始まりなのかは、その結果次第でした。強さを探すなら、原油とビットコインが引き続き際立つチャートです。


