年末高はいよいよ本格化 原油安と金利低下が追い風に、均等加重S&P500が最高値

■逆風が追い風に変わり、年末高が本格化
民主党の議会掌握で、イランとの戦争の終結や関税の引き下げが意識され、原油は急落し金利も低下しました。筆者は12月の利上げが見送られる可能性が高いと見ています。
■民間雇用は8万6000人増で、労働市場は適温
10月の民間雇用者数は予想を上回りました。転職者の賃金上昇率は約7.6%と、とどまる人の4.4%を上回り、離職率の上昇の裏づけになっています。
■サービス業の景況感は高水準で拡大が続く
ISMのサービス業景況指数は10月にやや低下しましたが、事業活動、新規受注、雇用は拡大しています。調査は原油の急落前で、投入コストの低下が押し上げ要因になりそうです。
■相場の広がりを均等加重S&P500の最高値が示す
10-12月期の利益予想が3四半期連続で上方修正され、マグニフィセント7以外の予想が上がっています。筆者は分散が最も重要だとしつつ、年末高の加速を見ています。
1. 年末高は本格化している
戦争や高金利のなかでも、均等加重S&P500が最高値
2026年の株式市場と経済は、イランとの戦争、インフレの上昇、原油価格の急騰、金利の上昇、そして極端に低い消費者信頼感と投資家心理にもかかわらず、驚くほど底堅く推移してきました。たしかに、3月と9月には2回の大きな調整がありました。それでも、均等加重のS&P500(RSP)は11月4日、そうした逆風をものともせず、過去最高値を更新しました。弱気派はテクノロジーセクターの混乱を材料に再び声を上げていますが、その裏で進む強気相場の広がりには目を向けていません。
4日の株価は、ワシントンの膠着を歓迎して急伸しました。民主党が議会を握ることで、投資家は、イランとの戦争の終結が早まり、関税が引き下げられると見ています。

(出典: Finviz)
逆風が追い風に変わった
これが原油価格のさらなる急落につながり、利回り曲線全体で金利が下がり、FRBの利上げ観測も後退しました。私は何カ月も前から、市場が夏のあいだ続いたもみ合いを抜け出すのに必要なのは、逆風の転換点だけだと述べてきました。いま、その逆風は追い風に見えます。燃料価格、金利、そしてやがてインフレの変化率が、いずれも好ましい方向に動いているからです。これで12月の利上げも見送られる可能性が高いと、私は考えています。 年末高は本格化していますが、分散が最も重要であることに変わりはありません。

(出典: Bloomberg)
2. 雇用とサービス業は堅調
民間雇用は8万6000人増
4日は、経済に関する良いニュースがほかにもありました。ADPによると、10月の民間部門の雇用者数は、予想を上回る8万6000人増でした。個人消費の伸びが強く保たれてきたことを考えれば、驚きではありません。消費が雇用の創出につながるからです。 あらゆる規模の企業が採用しており、ほとんどのセクターで増えています。
転職する人は、1年前より増えています。転職者の賃金総額は前年から約7.6%上昇しており、同じ職にとどまる人の4.4%を上回るからです。これは、今週初めのJOLTSで離職率が上昇したことの裏づけになります。労働市場は熱すぎも冷たすぎもなく、FRBと市場が好む状態が続いています。

(出典: Bloomberg)
【補足】ADPの雇用統計とは
米国の給与計算サービス会社ADPが、民間部門の雇用者数の増減を推計して毎月公表する指標です。政府の雇用統計に先立って発表されるため、労働市場の動きを早めに確かめる材料として使われます。
サービス業の景況感は高水準を維持
全米供給管理協会(ISM)のサービス業景況指数は、10月にやや低下しましたが、非常に健全な水準を保っており、拡大が続いていることを示しています。事業活動、新規受注、雇用は、いずれも拡大を続けています。関税と燃料費によって、価格の項目は高い水準にあり、企業の最大の不満であり続けています。ただ、この調査は、原油が15ドル急落する前、そして中間選挙の前に行われました。投入コストの低下は、今後の指数をさらに押し上げるきっかけになるはずです。

(出典: Trading Economics)
【補足】ISMサービス業景況指数とは
全米供給管理協会(ISM)が、サービス業の購買担当者への調査をもとに毎月公表する景況感の指標です。50を上回ると景気の拡大、下回ると縮小を示すとされます。上の図では、直近1年間は52〜56の範囲で、いずれも50を上回っています。
3. 相場の広がりと年末高
10-12月期の利益予想は上方修正が続く
S&P500の平均的な銘柄は、今年は指数を上回っています。10-12月期の利益予想が、再び上方修正されているからです。進行中の四半期にアナリストが予想を引き上げるのは極めて異例ですが、これが3四半期連続で起きています。注意点は、マグニフィセント7(大型ハイテク7社)の増益率がやや低下する一方で、残り493社の予想は上昇していることです。これが、強気相場が広がっている理由です。

(出典: FactSet)
均等加重S&P500が最高値を更新
この広がりは、4日に均等加重のS&P500が付けた過去最高値にも表れています。極めて好ましい兆候であり、逆風が追い風に変わっていることが、年末に向けた上昇を加速させるはずだと私は見ています。あらためて言いますが、年末高は本格化しています。

(出典: StockCharts.com)
【補足】均等加重S&P500とは
S&P500の500銘柄に同じ比率を割り当てて計算する指数です。時価総額の大きい銘柄ほど比重が重い通常のS&P500と違い、大型ハイテク以外の銘柄の値動きも同じように反映されます。本文では、この指数が過去最高値を付けたことが、上昇の広がりの証拠として示されています。


