08/14/2026

9月の踊り場と10月のサプライズ:中間選挙を前にした市場シナリオ

Main Imageローレンス・ フラーローレンス・ フラー
記事要約

    ■PPI鈍化で最高値更新
    2回連続で落ち着いたインフレ指標を受け、S&P500は最高値を更新しました。7月のコアPPIは前月比0.2%と予想を下回り、FRBは政策運営で忍耐強く臨めるとみられます。

    ■9月の勝率はわずか15%
    過去データでは、今年のように6月・7月が下落した年の9月の勝率は15%にとどまります。ただし8月が上昇した年は9月も上昇しやすく、現状はやや心強い形です。

    ■中間選挙とイラン情勢が重なる
    9月16日のFRB会合に加え、中間選挙前の政治的緊張やイラン情勢がボラティリティを押し上げやすい時期に入ります。原油・金利ともに高止まりが続いています。

    ■10月のサプライズと年末までの強気相場
    筆者は中間選挙前にホルムズ海峡再開の合意が発表されると見ています。9月の踊り場を挟みつつ、ブル相場は年末まで続くとの見立てです。

この記事は約 6 分で読むことができます。(記事文字数:約 3,100 文字)


生産者物価指数の鈍化が支えた最高値更新


インフレはピークを越えたという確信

2回連続で落ち着いたインフレ指標が発表されたことを受け、S&P500(SPY)は最高値を更新しました。FRBによる利上げ観測が後退し続けているためです。原油価格は下落し、金利もイールドカーブ全体で低下しました。これらはリスク資産の価格上昇を後押しする材料がそろった形です。投資家の間では、インフレ率のピークはすでに過ぎたという確信が強まりつつあると筆者は見ています。絶対水準そのものよりも、時間とともにどの方向へ向かっているかの方がはるかに重要です。市場が好むのは、この変化の方向がプラスであることです。

8月13日の取引では、S&P500に加えてNASDAQ(QQQ)が+0.81%、ダウ平均(DIA)が+0.13%と、主要3指数がそろって上昇して取引を終えました。

主要3指数の日中チャート

(出典: Finviz)


PPI内訳に見える減速の中身

生産者物価指数(PPI)の発表は、安堵材料となりました。予想より強い数字が出るのではないかと懸念していたためです。実際には、7月のPPIは前月比横ばいとなり、前年比の伸び率は5.5%から4.7%へ低下しました。食品とエネルギーの価格低下が寄与しています。この2項目に加えて貿易サービスを除いたコアPPIは7月に前月比0.2%上昇し、市場予想の0.3%を下回りました。前年比の伸び率は5%から4.7%へ低下しています。特に注目すべきは、運輸・倉庫コストが7月に1.8%低下したことで、これは2023年4月以来最大の下げ幅です。燃料コスト上昇の影響が和らいでいることを示しています。この結果を受けて、FRB当局者は金融政策の変更に対してこれまで通り忍耐強い姿勢を保てるはずです。

米生産者物価上昇率、予想以上に鈍化

(出典: Bloomberg)


【補足】生産者物価指数(PPI)とは

  • PPIとは: 企業が商品やサービスを出荷する段階での価格変動を示す指標です。消費者物価指数より川上の段階を捉えるため、数か月後の消費者物価の動きを先取りするシグナルとして注目されます。
  • なぜ「コア」を見るのか: 食品とエネルギーは天候や地政学リスクで大きく振れやすいため、これらを除いた数値の方が基調的な物価動向をつかみやすいとされています。
  • 本節の論点: PPIの伸び率鈍化は、消費者物価にも波及しやすいという見立てにあたります。

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