円・原油・AIが同時に動く。最も嫌われている資産を買い増した理由

■三つが同時に動いている
2兆ドル超にのぼる、円で借りた資金の巻き戻し、ブレント106ドル、AIの採算悪化。単独なら市場は吸収できますが、FOMCの直前に、10年債5%という水準で重なっています。
■円の線引きは153
ここを上回る限りは管理下の巻き戻しです。152割れは政策当局の手に負えなくなった合図で、そのとき最も打たれるのは遠い将来の利益に頼る成長株です。
■原油は続けられないと見ている
利上げを迫られる局面での物価押し上げ、財政の重荷、そして1ガロン4ドル超のガソリン。協議再開の局面で100ドルを保てるかが分かれ目です。
■AIはモデルの層の問題
平均単価は8月に0.97ドルの最安値。計算需要は健全でも最前線の価格は5年横ばいで、稼ぎはソフトウェア側へ移っています。
■私が買い増したもの
利上げは織り込み済みで、それを正当化した物価は原油によるものです。市場の空気も持ち高も混み合っていません。私は米国債7-10年のETFを積み増しました。円が152を割る展開が、この持ち高に対する本当のリスクです。
円で借りた資金の巻き戻し、原油の急騰、AIの資金調達をめぐる空気の変化。一つずつなら、底堅い市場はどれも吸収できる話です。
私が「市場がまだ織り込んでいない」と考えているのは、それらが同時に、FOMCの直前に、しかも10年債がすでに資本コストを変える水準にある状況で到来しているという点です。
そしてその資本コストの変化は、この強気相場をここまで運んできた取引に、ちょうど正面から当たります。だから「完璧な嵐」なのです。
私はこれを、考えうるかぎり最も嫌われているやり方で打ち消しにいきました。マクロ経済をテーマにしたETFの資産配分に、持ち高を足しています。
円:財務長官が解除しようとしている爆弾
この仕組みについては先日詳しく書きましたので、ここでは要点だけ整理します。
- 2兆ドルを超える「円を借りて他の資産で運用する取引」が、値動きの大きい資産に向かう資金を静かに支えてきました
- 日本と米国はいま、そろって円安の進行を止めにかかっています
- 介入は時間を買いましたが、解決ではありません
- 日本自身の借入コストは30年ぶりの高水準に達しました。 政府債務がGDPの200%を超え、米国との金利差が開いているという構造の問題は、為替介入では解けません
これを書いている時点でドル円は154.9近辺。スコット・ベッセント財務長官は、円のさらなる下落を防ぐため、日銀にもっと強い引き締めを公然と求めています。

(出典: TrendSpider)
私が見ている線は153
私の線引きはいまも153です。
ここを上回って推移している限りは、秩序だった管理下の巻き戻しです。 152を割り込むなら、それは巻き戻しが政策当局の管理できる速さを超えたという合図であり、そのときに最も強く打たれるのは、遠い将来の利益に価値の大半を置いている米国の成長株です。
【補足】円を借りて運用する取引とは
金利のごく低い円で資金を借り、それを金利の高い通貨や資産に換えて運用するやり方です。金利差がそのまま収益になるため、円安と低金利が続くあいだは成り立ちます。ところが円高に振れたり日本の金利が上がったりすると、借りた円を返すコストが跳ね上がり、保有していた資産を売って円に戻す動きが一斉に起きます。規模が2兆ドルに達しているため、この巻き戻しは日本国内だけでなく米国株や米国債の売りとして表に出てきます。
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