この数か月、私はポートフォリオのAIインフラ側を組み立ててきました。ネオクラウド、計算資源、そしてメモリです。
今回の2銘柄は、その最後の追加にあたります。 そして2社は、まったく違う場所で同じ筋書きを支えています。1社はデータセンターの建物の中で、機器と機器をつなぐ配線をつくる会社。もう1社は、その建物を動かす電気をつくる会社です。
クレド・テクノロジー——市場は好決算を罰した
クレド・テクノロジー・グループ・ホールディング(CRDO)は、9月2日に2027年度第1四半期決算を発表しました。

(出典: Seeking Alpha)
紙の上では、素晴らしい内容でした。売上高は過去最高の4億7900万ドルで前年比115%増。非GAAPベースの1株当たり利益は1.20ドルと、1年前の0.52ドルから大きく伸びています。第2四半期の見通しも5億2500万〜5億3500万ドルと市場予想を上回りました。
それでも株価は20%下げました。

(出典: クレド・テクノロジー決算資料)
売られた3つの理由
1つ目は利益率です。 GAAPベースの売上総利益率は1年前の67.4%から64.5%へ縮み、営業利益率も25.2%へ低下しました。営業費用が前四半期比16%増と会社自身の見通しの上限を超えたためで、経営陣は研究開発費が前年比でおよそ55%高い水準になると説明しています。第2四半期の非GAAP売上総利益率の見通し67〜69%は、それ単体で見れば問題ありません。ただ「成長を金で買っている」のであって、ただで積み上がっているわけではない、と見る投資家もいます。
2つ目は、決算前にすでに44%上げていたことです。完璧を前提とした期待に対して「単に良い」程度の上振れでは、誰かを失望させるのは避けられませんでした。
3つ目が、おそらく最も重要です。顧客の偏りです。 上位3社で売上高の74%、最大の1社だけで33%を占めています。
【補足】顧客の偏りが問題になる理由
売上の大半を少数の顧客に頼っている状態では、その1社が発注を絞っただけで業績が大きく揺れます。 上位3社で74%という水準は、半導体関連の中でも高いほうです。値下げ圧力にも弱くなります。逆に言えば、顧客の数が増えて構成が分散すれば、同じ利益でも市場が付ける評価は上がりやすくなります。
それでも私が買い増した理由
強気の根拠は、ここまでの3点をすべて踏まえても崩れていません。だからこそ私は、これを絶好の機会と捉えています。
クレドのAEC(アクティブ電気ケーブル)事業は、5社の巨大クラウド事業者と深い関係を築いています。そしてより重要なのは、光通信側で進んでいる分散です。
経営陣は2027年度の光通信の売上高を6億ドル超と見込んでおり、ZeroFlap Optics、シリコンフォトニクスのPIC、光通信用DSPのそれぞれが単独で1億ドル超を担う想定です。これは光通信が本格的に立ち上がる最初の年であり、今後数年かけて顧客の偏りを薄めていく仕組みでもあります。
株価はおよそ172ドル、予想株価収益率は23.6倍。これに対して過去の売上高は165%伸びています。市場予想の平均目標株価は281ドル近辺で、19人のアナリストが最上位の評価を付けています。光通信の立ち上がりが宣伝ではなく実体だと考えるなら、この数字は成り立ちます。
【補足】AEC(アクティブ電気ケーブル)とは
データセンター内で機器同士をつなぐケーブルのうち、信号を増幅する回路を内蔵したものを指します。光ファイバーより安く、ただの銅線より遠くまで信号を届けられる中間的な存在です。AIサーバーは大量の通信を短距離でやり取りするため、この領域の需要が急拡大しています。
テクニカル面では、まだ落ちてくるナイフ
いま問題なのは、クレドがまだ落ちてくるナイフだという点です。反転のはっきりした兆しは出ていません。逆行現象もMACDの好転もまだ確認できず、200日指数平滑移動平均線の下に閉じ込められたままです。
RSIは売られすぎの水準にあり、これは心強い材料です。私が評価しているのは、下値が限られているように見えることです。137ドルに非常に強い支持帯があり、ここを割り込むとしたら意外に感じます。
理想を言えば、いったんその水準まで下げ、RSIに逆行現象が出て、そこから反発する形です。ただ、そうなる保証はありません。それでも長期の視点であれば、ここは買い増すのに悪くない位置だと考えています。

(出典: TrendSpider)
【補足】逆行現象(ダイバージェンス)とは
株価が安値を切り下げているのに、RSIなどの指標は安値を切り上げている状態を指します。値動きの勢いが下向きに弱まっていることを示すため、反転の前触れとして注目されます。 ここでは「まだそれが出ていない」ことが、下げ止まりを確認できていない根拠として挙げられています。
ビストラ——足りないものそのものを持つ
AIによる電力不足という筋書きは、大きな話としてはさんざん書かれてきました。ビストラ・コープ(VST)は、それを実際に保有するための最も素直な方法の一つです。

(出典: Seeking Alpha)
ゴールドマン・サックスは、米国のデータセンターの電力需要が2025年の31ギガワットから2027年には66ギガワットへ、およそ倍増すると予想しています。そしてビストラが最も多くの発電設備を持つPJMとERCOTという2つの送電網は、この夏いずれも過去最高の最大電力を記録しました。それぞれ168ギガワット超と91ギガワットです。
規制下の電力会社が、おおむね10%程度の利益率に上限を課されているのとは違い、ビストラは卸売市場に電力を売る独立系の発電事業者です。予備率の低下と容量価格の上昇という追い風を、規制当局の監督下で料金に転嫁するのではなく、直接自社の利益として取り込めます。
規制下の電力会社との違い
【補足】独立系の発電事業者と、規制下の電力会社の違い
規制下の電力会社は、地域の利用者に安定して電気を届ける代わりに、得られる利益率に上限が設けられています。 電力が不足して市場価格が上がっても、その分は料金に反映されて利用者の負担になり、会社の儲けにはなりません。一方の独立系の発電事業者は、卸売市場で価格が上がればそのまま利益が増えます。電力が足りない局面では、両者の収益はまったく逆の動き方をします。
契約済みの収益が、商品価格への賭けではなくしている
この銘柄を単なる電力価格への賭けにとどめていないのが、契約済みの収益です。
ビストラは2025年11月、アマゾン・ドット・コム(AMZN)のAWSと1,200メガワットの二酸化炭素を出さない電力について20年間の電力購入契約を結びました。続いて2026年1月には、メタ・プラットフォームズ(META)との間で、原子力発電設備から2,609メガワットを供給する20年契約を締結しています。
8月には、Helix Digital Infrastructureへの10億ドルの出資を表明しました。コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)、NVIDIA(NVDA)、クウェート投資庁との合弁事業で、大規模なクラウド事業者向けに「ラックから送電網まで」をまとめた電力と土地の一括提供を手がけます。ビストラは優先的な電力供給者としての位置づけです。
さらに、直近で発表されたCogentrixの買収でおよそ5,500メガワットの天然ガス発電設備が加わります。契約済みの原子力と、必要なときに動かせるガス火力の両方を、構造的にどちらも足りていない市場へ持ち込む会社ということになります。
【補足】PPA(電力購入契約)とは
発電事業者と需要家が、あらかじめ決めた価格と期間で電力を売買する長期契約です。今回のように20年という期間で結ばれると、発電側は市場価格の変動に左右されない収益を確保でき、需要家側は電力を安定して押さえられます。データセンターは一度建てると長期にわたって大量の電力を使うため、この形の契約が急速に増えています。
決算がそれを裏づけている
第2四半期の調整後EBITDAは17億7000万ドルで前年比30%超の増加、発電部門のEBITDAは68%増でした。経営陣は2026年のEBITDA見通しを68億〜76億ドルで据え置いており、Cogentrixとメタの原子力案件による7億ドル程度の上振れ余地は、まだこのレンジに十分織り込まれていません。

(出典: ビストラ決算説明会資料)
株価は154ドル前後で、予想株価収益率は14.9倍にとどまります。52週高値の220ドル近辺からはおよそ30%低い水準です。市場予想の平均目標株価は217ドル近辺で、20人のアナリストが最上位の評価を付けています。
テクニカル面はかなり整っている
ビストラのテクニカル面は、実に説得力のある形をしています。週足では強気の逆行現象が数か月にわたって形成されてきました。 MACDも好転寸前で、160ドルを上抜ければ抵抗の少ない道筋が開けます。200週指数平滑移動平均線はそれほど下ではありませんが、今後数か月でそこを試すことになれば意外に感じます。

(出典: TrendSpider)
結論:中の配線と、外から来る電気
クレドとビストラは、互いを補う形でAI関連の保有銘柄を締めくくります。クレドが担うのはデータセンターの中、機器と機器をつなぐ配線です。ビストラが担うのはその外側、そもそも電気が届かなければデータセンターを建てても動かせない、という部分です。
どちらの下落も、私の見立てでは、複数年にわたる筋書きが崩れたというより、大きな上昇を消化していることと、目先の慎重な数字によるものです。
私は両方を買い増しています。ただし、それぞれのリスクに応じて金額を変えました。顧客の偏りという重石があるクレドは小さめに、契約済みのキャッシュフローという裏づけがあるビストラは大きめにしています。