主要指数は高値圏で足踏みしています。一方で、個別銘柄にはここ数週間で最も整った形が出てきました。順に見ていきます。
米国株式指数
S&P500(SPY、日足)
S&P500は直近レンジの上限でもみ合い、7,677で引けました。20日EMA(7,659)と50日EMA(7,560)のあいだに挟まれた格好です。
視野を広げればトレンドは依然として明確に上向きで、指数は200日EMA(7,137)を500ポイント以上も上回っています。ただしここ数週間は、高値に向かって収束する形を刻んできました。切り上がる下限と切り下がる上限が、7,700〜7,750のあたりで出会おうとしています。これはトレンドではなく、力をためている相場です。
RSIは53.94とちょうど中立、MACDのヒストグラムは8月に天井を打った後、マイナス(-14)に転じたところです。どれも単体では警戒すべきものではありません。4月安値からの0→A→B→Cという急ピッチの上昇に対する消化過程に見えます。
とはいえ、三角形の頂点は近づいています。7,700〜7,750を明確に上抜ければ、0.382の拡張である7,790近辺、さらに0.5の7,943へ道が開けます。一方で切り上がるトレンドラインとC波の安値7,539を割り込めば、春以降で初めての本格的な警戒シグナルになります。現時点では動くべき場面ではなく、見極めるべき場面だと考えています。

(出典: TrendSpider)
テクニカル指標の読み方
【補足】EMA・MACDヒストグラム・RSI
- EMA(指数平滑移動平均線): 直近の値動きに大きな比重を置いて計算する移動平均線です。20日・50日・200日が上から順にこの並びになる「強気配列」は、短期から長期まで一貫して上向きであることを示します。
- MACDヒストグラム: 短期と長期の移動平均の差を棒グラフにしたものです。プラスへの転換は勢いが戻り始めたこと、マイナスへの転換は勢いが衰えたことを示します。
- RSI: 値動きの強弱を0〜100で示す指標です。一般に70超で買われすぎ、30未満で売られすぎとされます。
NASDAQ100(QQQ、週足)
より大きな物語は週足のNASDAQ100にあります。教科書どおりの推進波の構造が続いています。
0の安値からAへ、Bまで戻し、いまCを抜けていく形です。指数は25,358で引け、20週EMA(23,559)と50週EMA(22,032)をゆうに上回り、上向きの200週EMA(17,717)からは43%も上に位置しています。想定している波のカウントが正しければ、この動きが終わるまでにまだ上値余地は大きく残ります。
難点は、週足のRSIが70.25と買われすぎの領域にあることです。MACDのヒストグラムも86.1と強いプラスを保ってはいますが、この1カ月は横ばいになっています。
この組み合わせは通常、トレンドは崩れていないものの、次の上昇に移る前に買われすぎを解消するための小休止か浅い押しが入りやすいことを意味します。長期で保有している人にとって、いまのチャートに手仕舞いを促すシグナルは出ていません。新規に組み入れる場合、強さを追いかける形と押しを待つ形では、後者のほうが取得水準は低くなりやすい構図です。

(出典: TrendSpider)
実物資産と暗号資産
2026年の金の上昇は、今年のマクロ系の値動きのなかでも屈指のものでした。そして直近の368〜391ドル帯への押しは、警告というより好ましい動きに見えます。この帯はかつてのブレイクアウトの土台で、いまは支持線として機能しています。
GLDは週末を400.10ドルで終え、20週EMA(400.87、実質的に株価と同水準)と50週EMA(391.37)をともに回復しました。200週EMAは298.45とはるか下方にあり、この上昇トレンドの強さを物語っています。
とりわけ注目しているのは、MACDのヒストグラムが数週間のマイナスを経てプラス(+1.725)に転じたことです。確立された上昇トレンドのなかで起きる、典型的なモメンタムの仕切り直しにあたります。RSIは49.52で、過熱と言える水準まではまだ距離があります。調整を経て構造的な支持線を守り、再び上を向き始めた——いま見つけられるなかでは、最も整った形のひとつです。

(出典: TrendSpider)
ビットコインは55,000〜60,000ドル近辺の安値から大きく戻し、いま76,245ドルで、200日EMA(76,136)にほぼ貼り付いています。ここは重要な水準です。
RSIは54.04で中立、MACDのヒストグラムはこの抵抗帯でマイナス(-765.9)に転じました。チャート上で直近のSELLシグナルが出ている位置と一致します。
この銘柄を取り上げたのは、明確な好機だからではなく、注視すべき水準に来ているからです。200日EMAとこの供給帯を明確に上抜ければ、数カ月続いたもみ合いの後としては意味のある強気の進展になります。逆にここで跳ね返されれば、71,790〜72,003ドルの支持帯(0.5戻し)まで滑り落ちる展開がありそうです。いま急いで動く場面ではなく、水準に判断を委ねる場面です。

(出典: TrendSpider)
個別銘柄
主要指数が一服するなか、いくつかの個別銘柄にはここ数週間で最も整った形が現れています。そのうち何銘柄かは、まさにいま弱い持ち手を振り落としている最中です。経験上、整った形が現れるのはたいていこういう場面です。
ブルーム・エナジー(BE、日足)
このリストから1銘柄だけ選ぶなら、これを挙げます。
ブルーム・エナジーは春の安値から大きく上昇した後、夏のあいだにおよそ190〜280ドルの広い土台を築いてきました。そしていま、そのレンジ上限である281.26ドルを直接試しています。
株価は20日EMA(247.16)、50日EMA(238.31)、200日EMA(199.82)のすべてを上回る、教科書どおりの強気配列です。RSIは63.96で、危険水域に入ることなく本物の強さを示しています。
MACDのヒストグラムは強気転換の後、4.681へと上昇を続けています。この動きの背後にある勢いが、衰えるどころかまだ積み上がっていることを示す数字です。本日のわずかな下げ(-0.61%)で280〜282ドルの抵抗帯に押し戻された動きも、反転ではなく、上放れ前に見たい振るい落としに見えます。
ここを出来高を伴って抜ければ、価格発見の局面に入る形です。今日のリストのなかでは最も確信度の高い形だと考えています。

(出典: TrendSpider)
ウォルマート(WMT、日足)
ウォルマートは苦しい時期が続いてきました。132ドル近辺の高値から102ドル前後の安値まで下げ、3本の主要EMA(20日107.53、50日110.13、200日113.80)をすべて下回っています。しかも200日EMAは下向きに転じ始めました。通常なら私が避けるチャートです。
ただ、よく見ると土台ができ始めた初期の兆しがあります。RSIは深い売られすぎの水準から切り上がる安値を重ねており、MACDのヒストグラムも数カ月のマイナス圏を経てプラス(+0.434)に転じました。株価が安値を切り下げる一方で指標が安値を切り上げる「強気のダイバージェンス(逆行現象)」の初期形にあたる可能性があります。
株価も新安値の更新を止め、106〜108ドルの帯へ戻してきています。反転が確認されたとは言えません。ただ、高値から大きく水準を切り下げたディフェンシブな超大型株として、落ち着きどころを探る動きは注目に値すると考えています。

(出典: TrendSpider)
ノボ・ノルディスク(NVO、日足)
このリストで最も逆張り色が強い銘柄です。その点は最初に断っておきます。
NVOは高値から半値まで削られ、42.59ドルで引けました。20日EMA(44.74)、50日EMA(45.82)、200日EMA(48.41)をいずれも大きく下回っています。チャートは0→A→B→Cという明確な調整パターンを描き、株価は0.236のフィボナッチ戻し(39.13)付近で底を打った形です。
それでも取り上げる理由は、RSIが37.96と売られすぎの水準から切り上がっていること、そしてMACDのヒストグラムの幅が縮まってきたことにあります。今年この株を押し潰してきた弱気の勢いが、力を失いつつあるということです。
まだ積極的に動く形ではありません。トレンド転換を確認するには44〜45ドルの帯を回復する必要があります。ただ、時間をかけて水準を分けて入れる忍耐強い投資家にとっては、テクニカル面の傷みがようやく出尽くしつつあるように見えます。
フィボナッチ戻しの読み方
【補足】0.236・0.382・0.5という数字は何か
- ひとつの上昇(または下落)の幅を100として、その23.6%・38.2%・50%・61.8%を戻した水準を目安にする考え方です。多くの市場参加者が同じ水準を意識するため、実際に反発や頭打ちが起きやすい帯として使われます。
- 本記事での使われ方: S&P500の7,790ドル・7,943ドルは上昇幅を上に延長した目標水準、ビットコインの71,790〜72,003ドルとノボ・ノルディスクの39.13ドルは下落局面での戻り・支持の目安として挙げられています。
アップラビン(APP、週足)
APPはこのリストで最も荒い値動きのチャートです。高値から大きく下げ、週末を317.96ドルで終え、20週EMA(395.72)と50週EMA(433.85)をともに大きく下回っています。表面的には厳しいトレンドです。
しかし重要なのはこの点です。株価は上向きの200週EMA(289.53)をまだ上回っており、今回の調整を経てもなお長期の上昇トレンドは技術的に崩れていません。RSIは37.28と売られすぎに近づいており、MACDのヒストグラムは-12.364と深いマイナスながら、最悪期からは改善し始めています。
値動きの荒い投機的な形であり、誰にでも向くものではありません。ただ、変動に耐えられる投資家にとっては、200週EMAからの反発が意味を持つ分岐点になりうると見ています。

(出典: TrendSpider)
コーニング(GLW、日足)
最後は期待を煽る話ではなく、注意喚起で締めます。
コーニングは60ドル近辺の安値から200%を超える上昇という見事な一年を送ってきました。しかし本日は厳しい一日で、MACDの弱気クロス(ヒストグラムがプラスから-3.948へ転換)を伴って4.6%下落しました。RSIは48.01と中立で、まだ売られすぎには達していません。この下げにはもう少し続きがある可能性を示唆しています。
長期の絵は依然として良好です。GLWは上向きの200日EMA(139.78)をはるかに上回っており、構造的な上昇トレンドは崩れていません。ただ、今日の陰線を追いかけるのは早すぎます。落ちてくるナイフをつかむのではなく、50日EMAと20日EMAが位置する189〜200ドルの帯まで戻って落ち着きを取り戻すのを待つ——そういう銘柄だと考えています。

(出典: TrendSpider)